前頭葉内側面梗塞後の超皮質運動失語の1例:意図的発話時のspeech dysfluencyについて
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
前頭葉内側面梗塞後に超皮質性運動失語をきたし,発話時に著明なspeech dysfluencyを呈した1例について,言語および発語症状を分析し,その障害の質を検討した.その結果,(1) 左手の一側性失行・失書および一過性の失声症の合併が明らかになった.超皮質性運動失語の症状としては,意図的発話の困難のみを呈し,課題発話や理解力は良く保たれていた.(2) より意図性の高い発話場面でspeech dysfluencyが生じており,それは異常呼吸,緊張,引き伸ばし,繰返しなどに分類された.(3) speech dysfluencyの改善過程が量的にも症状の変遷からも捉えられた.すなわち,初期-異常呼吸や緊張,中期-引き伸ばしや抑揚障害,回復期-繰返し,がそれぞれの代表的な症状として認められた.(4) これらは発話開始の困難や流暢性の維持の障害-発話開始機構の障害の表われと考えられたが,背景には命題化の障害の存在も示唆された.
著者
関連論文
- 実用コミュニケーション能力検査の開発と標準化
- 自発話能力評価のための臨床検査法の開発 : 健常群での検討
- 前頭葉内側面梗塞後の超皮質運動失語の1例:意図的発話時のspeech dysfluencyについて
- 漢字に選択的障害を呈した失読失書の1例
- 自発話能力評価のための臨床検査法の開発II : 失語群での検討
- The Validity of a Multidimensional Scoring Method in Aphasia Testing: A Review of the Data from 196 Cases