中耳腔貯留液の分泌型免疫グロブリンA(SlgA)
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概要
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目的:中耳粘膜が呼吸上皮や外分泌腺同様,SlgA系の局所免疫による生体防禦の働きを傭えているか否か,また中耳腔貯留液の性質を知る目的で,中耳腔貯留液中の分泌型IgA(SlgA)を免疫化学的に検索した.実験方法:プールした中耳腔貯留液約50mlから,抗secretory component(SC)抗体を用いたimmunoadsorbents法によつて精製したSlgAを,唾液,鼻汁,初乳よりクロマトグラフイー法によつて分離•精製したSlgAと同時にSDS-ポリアクリルアミドゲル泳動によつて分析し,各ポリペプタイドの易動度および分子量を比較した.また抗SC血清および抗α一鎖血清を用い免疫拡散法によつて抗原性を検討した.125Iでラベルした抗SC抗体を用いたradioimmunodiffusion法によつて漿液性貯留液および同一人血清中のSlgAを検索した.抗SlgA血清による免疫電気泳動ならびに125Iでラベルした抗SC抗体によるradioimmunoelectrophoresisによつて中耳腔貯留液中の遊離SCを検索した.結果:中耳腔貯留液より分離されたSlgAは他の外分泌液より分離されたSlgAと分子構成ならびに抗原性はほぼ一致していた.SIgAは漿液性貯留液47例中43例(91.5%)に認められた.遊離SCは漿液性貯留液47例中1例(2%),粘液性貯留液30例中6例(20%)に証明された.
著者
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前田 昇一
山口大学医学部耳鼻咽喉科教室
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茂木 五郎
山口大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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渡辺 徳武
山口大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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吉照 豊治
山口大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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前田 昇一
山口大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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茂木 五郎
山口大学医学部
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