中耳粘膜の分泌機能 : 免疫化学的立場から
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概要
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目的:分泌型免疫グロブリンA(SIgA)は粘膜局所で合成され,外分泌液中に特異的に存在し,SlgAの存在がその体液の外分泌液としての証左となつているものといえる。従ってもしSIgAが中耳腔貯留液中にあれば,中耳腔貯留液は外分泌としての性質をもち,中耳粘膜が分泌機能をもつことを証明することになろう.さらにSIgAは局所免疫の主役をなしていると見做されるため,SIgAの存在は中耳粘膜が他の呼吸上皮同様,局所免疫防禦の働きを有するものと思われる.これらのことから中耳腔貯留波160例中につきSIgAの存在を免疫拡散法を用いて検索した.実験方法:健康人耳下腺唾液からDEAEセルロズ•カラム•クロマトグラフィーおよびG-200セフアデツクス•ゲル源過によつてSIgAを分離精製した,唾液より得たSIgAで家兎を免疫し,抗SIgA血清を作成し,さらにこれをプールした健康人血清で吸収し抗secretory component血清とした.1%寒天ゲル内でOuchterlony法により抗SIgA血清ならびに抗secretory component血清をもちい,160例の中耳腔貯留液および貯留液を得た同一人の患者血清を同時に反応させた.結果:中耳腔貯留液中のSIgA陽性率は以下の通りであつた.漿液性貯留液100例中29例(29%),漿液膿性3例中1例,膿性3例中2例,粘液膿性7例中5例(71.4%)および粘液性47例中38例(80-8%)であつた.患者血清中には1例を除き他はすべて陰性であった.
著者
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