膿胸合併肺癌に対する右肺全摘後気管支断端瘻の1治験例 : 特に有茎性大網被覆術の効果と適応について

スポンサーリンク

概要

論文の詳細を見る
膿胸を合併する肺癌はまれで1%以下といわれている.最近, 膿胸合併肺癌症例に対し右肺全摘術及び左房合併切除を行ったが, 術野を汚染したため, 感染予防目的で気管支断端を第5肋間筋肉弁を用い被覆した.しかし第22病日に感染によると考えられる気管支断端瘻を併発した.再手術時, 肋間筋肉弁は全長に渡り生着していることが確認されたが, 膜様部に認められた気管支瘻の周辺のみ筋組織が変性脱落し, 感染防御には無効であった.気管支断端は短く再切除後の縫合は不能であったため, 瘻孔の直接閉鎖と有茎性大網片による被覆を行った.その結果, 手術後2週間で退院し, 11ヵ月経過した現在も気管支瘻, 癌の再発は認めていない.大網は血流が豊富で, 血管新生, 抗炎症作用, 自浄作用がきわめて強力である.したがって本症例の如く術後感染が懸念される症例に対しては, 肋間筋よりも大網による予防的被覆がより有効であったのではないかと考えられる.

著者

関連論文

もっと見る

スポンサーリンク