新しい睡眠導入剤1H-1,2,4-Triazolyl benzophenone 誘導体450191-Sの薬理(III) : 450191-Sと他の中枢作用薬との相互作用に関する行動薬理学的研究
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概要
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マウスを用い,新しい睡眠導入剤450191-Sと臨床的に併用が予想される代表的な薬物haloperidol,imipramine,phenytoin,morphineまたはaminopyrineとの相互作用を行動薬理学的に検討し,nitrazepam,estazolamおよびtriazolamと比較を行なった.450191-Sおよびnitrazepamの抗pentetrazol痙攣作用の効力はaminopyrineとの併用によって著明に減弱し,一方estazolamの効力はphenytoinとの併用によって著明に増強された.さらに,nitrazepamの場合はaminopyrine以外の薬物との併用によって,またestazolamの場合はhaloperidolとの併用によって,作用パターンが変化することが示唆された.しかし,triazolamの抗pentetrazol作用は他剤によって何ら影響を受けなかった.haloperidolの抗apomorphine作用(climbing行動抑制作用)の効力はnitrazepamとの併用によって有意に減弱し,またhaloperidolの作用パターンはestazolamあるいは450191-Sとの併用によって変化することが示唆された.しかし,triazolamはhaloperidolの作用に何ら影響を及ぼさなかった.imipramineのreserpine低体温拮抗作用はnitrazepamによってほとんど影響を受けなかったが,450191-S,estazolalnおよびtriazolamによって軽度に減弱された.phenytoinの抗最大電撃痙攣作用の効力は450191-Sおよびtriazolamによって有意に減弱され,またnitrazepamはphenytoinの作用パターンを変えた.しかし,estazolamはphenytoinの作用に有意な影響を及ぼさなかった.morphineおよびaminopyrineの鎮痛作用の双方あるいは何れか一方は,estazolam,triazolamおよびnitrazepamによって有意に増強されたが,450191-Sによっては何れも影響を受けなかった.以上の成績から,450191-Sの抗pentetrazol痙攣作用は,その強さおよび安定性において,triazolamより劣るが,nitrazepamおよびestazoiamよりは優れていること,また450191-Sはmorphineおよびaminopyrineの何れの鎮痛作用に対しても増強作用を示さないことで,他の睡眠導入剤とは区別され得ることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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堀内 裕一
塩野義製薬株式会社
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伊比井 信廣
塩野義製薬(株)新薬研究所
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山本 研一
塩野義製薬研究所
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堀内 裕一
塩野義製薬(株)・新薬研究所
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伊比井 信廣
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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山本 研一
塩野義製薬 (株) 研究所薬理学部門
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