新しい睡眠導入剤1H-1,2,4-Triazolyl benzophenone誘導体450191-Sの薬理(II) 睡眠導入作用ならびに運動系に対する作用
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概要
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各種動物の行動解析と脳波を主とする電気生理学的方法により1H-1,2,4-triazoiyl benzophenone誘導体450191-Sの睡眠導入作用と運動系に対する作用を調べdiazepam,nitrazepam,estazolam,triazolamと比較を行った.450191-S 0.6〜3mg/kgの経口投与によりアカゲザル,ウサギおよびラットでは睡眠潜時の短縮高振幅の徐波深睡眠(SWDS)波の増加とその安定した持続が得られ,徐波浅睡眠(SWLS)時には紡錘波が鮮明化した.一方,nitrazepamやestazolamではSWDSの出現は少なく,その持続に安定性を欠いた.アカゲザルの睡眠導入有効量は450191-S 0.6〜1mg/kg,nitrazepam 3mg/kg,estazolam 1mg/kg,triazolam 0.3mg/kgである.一方,ネコでは発揚作用,海馬律動波の周波数減少などbenzodiazepines(BDZ)の特徴が現われた.ウサギの脳波覚醒反応,ネコの後部視床下部刺激による昇圧反応などから450191-Sは視床下部―大脳辺縁系に抑制作用を有することが示唆された.450191-Sのラット扁桃核kindling抑制作用はdiazepamやnitrazepamと同程度であった,ウサギに450191-S 3mg/kgまたはnitrazepam3〜6mg/kgを15日間連続投与するとSWDSのわずかな減少とFWSの増加傾向が認められた.休薬後は覚醒期がいく分増加したが対照群との間に有意差はなく,FWSの反跳性増加もなかった.ラットの脊髄反射と後根電位に対して450191-S(i.v.)は対照薬と同質の作用を示したが特にラットの対側性伸展反射に対してはBDZ睡眠導入剤様の作用を示した.骨格筋弛緩作用は450191-Sが最も弱いのでアカゲザルのSWDS増加量と歩行失調強度,ネコの視床下部性昇圧反応と呼吸運動抑制作用との比をとると450191-Sは主作用と副作用の分離した安全性の高い睡眠導入剤となる可能性が示唆された.450191-Sの血漿中活性代謝物M-1,M-2,M-A,M-3,M-4と母化合物450191-Sの薬理作用を比較し,各代謝物の血中推移と睡眠導入作用,骨格筋弛緩作用,情動行動抑制作用の相互関係を比較し,代謝物に対する母化合物の有用性を明確にした.
著者
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吉村 弘二
塩野義製薬株式会社
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広野 悟
塩野義製薬(株)油日ラボラトリーズ
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松下 享
塩野義製薬(株)研究所
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田崎 武信
塩野義製薬(株)
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山本 研一
塩野義製薬研究所
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越田 光
塩野義製薬株式会社
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川崎 和夫
塩野義製薬(株)医薬開発部
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内藤 行雄
塩野義製薬(株)研究所薬理学部門
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沢田 亨
塩野義製薬(株)研究所薬理学部門
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内海 静雄
塩野義製薬株式会社研究所
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武居 秀夫
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
-
越田 光
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
-
山本 研一
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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川崎 和夫
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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沢田 亨
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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吉村 弘二
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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内海 静雄
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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内藤 行雄
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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田崎 武信
塩野義製薬(株)研究所神経薬理学部門
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吉村 弘二
塩野義製薬 (株) 研究所薬理学部門
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山本 研一
塩野義製薬 (株) 研究所薬理学部門
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