薬物依存に関する神経薬理学的研究(I) : ラットの身体依存性形成における系統,性別,薬物の投与時間の違いの影響ならびに各種薬物の禁断症状の特徴
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概要
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ラットの系統差,雌雄差または薬物の投与時間の違いが身体依存性の形成にどのように影響を与えるかを調べるためmorphine(MP)およびphenobarbital(PNB)を対象に実験を行い,あわせてcodeine(CD),d-propoxyphene(d-P),chlordiazepoxide(CDP),diazepam(DZP),cocaine(CC),d-methamphetamine(MAPT),chlorpromazine(CPZ)連続投与ラットの行動薬理学的異同を調べるため成長曲線,突然休薬ないし拮抗薬投与による禁断症状を粗大行動,体重,体温および摂餌量を指標に解析した.また条件反応が薬物依存性検索の指標となり得るか否かを検討した.1)MPおよびPNB突然休薬による体重および摂餌量の減少を含む禁断症状の量的時間的なまた一部質的な違いがJCL-Wistar(JW),SLC-Wistar(SW),JCL-Sprague Dawley(SD)およびHOS-Donryu(DON)系ラットの間で認められた.2)MPおよびPNB突然休薬による禁断症状は一般に雄性動物でより強く現われた.3)薬物の投与時間の違いによる身体依存性形成の差には雌雄差および薬物の違いが関与するようである.4)突然休薬による体性行動,自律行動,情動行動ならびに意識水準の変化はMP型薬物とbarbiturate-tranquilizer(BT)型薬物の間で明らかに異なり,とくにラットの禁断症状の特徴といわれる体重減少はMP型薬物では薬物投与24時間後に,BT型薬物では40時間後に最も著明であった,各行動変化は拮抗薬の投与により増強された.5)精神依存能の強いCC,MAPTでは休薬しても著しい行動変化は認められず体重減少もなかった.6)いずれの薬物でも突然休薬では体温変化が認められなかった.一方,拮抗薬の投与によりMP型薬物では体温下降,BT型薬物では体温上昇が現われた.7)条件回避反応は突然休薬によりMPおよびCD依存ラットでは軽度に,拮抗薬投与により著しく抑制された.また,条件回避反応は突然休薬によりPNB,CDPでは中等度に,CCでは軽度に,拮抗薬の投与はCDP群の本反応を中等度にそれぞれ抑制した.
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