<I>d</I>-Nicotineの薬理作用 ―<I>l</I>-Nicotineとの比較―
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概要
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<I>d</I>-nicotineの急性毒性および薬理作用を調べ，<I>l</I>-nicotineのそれと比較した，1)マウスに4-および<I>l</I>-nicotineを静脈内投与した時の50%痙れん誘発:量はそれぞれ4.10および0.23mg/kgであり，LD50は6.15および0.33mg/kgであった．2)無麻酔アカゲザルの大脳皮質自発脳波は64μg/kgの<I>d</I>-nicotineで影響されず，同量の<I>l</I>-nicotineでは発作波が出現した．3)ラットにおいて，1mg/kg以上の<I>d</I>-nicotine皮下投与は自発運動を増加させ，DRL20”スケジュール下の反応に対して，反応間時間(IRT)の分布のパラツキを増大させ，IRTの中央値は原点側へ移行した．4)麻酔ラットの血圧は<I>d</I>-および<I>l</I>-nicotineの静脈内投与で上昇し，心拍数も増加した．血圧を50mmHg上昇させるのに必要な<I>d</I>-および<I>l</I>-nicotineの投与量はそれぞれ1043.7および134.4μg/kgであり，心拍数を50beats/min増加させるのに必要な投与量はそれぞれ620.8および84.8μg/kgであった．5)ラットの摘出回腸標本において，10<SUP>-5</SUP>M濃度の誌nicotineは影響を及ぼさず，10<SUP>-4</SUP>M濃度で回腸を収縮させた．<I>l</I>-nicotineでは10<SUP>-5</SUP>M濃度で10<SUP>-4</SUP>M濃度の<I>d</I>-nicotineの場合と同程度の収縮がみられた．6)ラットの摘出横隔膜神経筋標本において，<I>d</I>-および<I>l</I>-nicotineはいずれの場合も10<SUP>-5</SUP>M濃度では変化はみられず，10<SUP>-3</SUP>M濃度で神経刺激による横隔膜の収縮を選択的に抑制した．7)麻酔ラットの静脈内にくり返し<I>d</I>-あるいは<I>l</I>-nicotineを投与するといずれの場合も血圧上昇効果は減弱し，タキフィラキシーが認められた．またこの現象は<I>d</I>-と<I>l</I>-nicotineの交差適用によっても観察された．以上の成績から，<I>d</I>-nicotineの薬理作用は中枢および末梢作用ともに<I>l</I>-nicotineと質的に類似し，その効力は<I>l</I>-nicotineより弱いことがわかった．
著者
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飯塚 宏美
実験動物中央研究所附属前臨床医学研究所
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柳田 知司
実験動物中央研究所
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島田 瞭
実験動物中央研究所附属前臨床医学研究所薬理部
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柳田 知司
実験動物中央研究所附属前臨床医学研究所
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川口 武
実験動物中央研究所附属前臨床医学研究所精神薬理部
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飯塚 宏美
実験動物中央研究所附属前臨床医学研究所薬理部
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