ラット外側視床下部自己刺激行動に及ぼす向精神薬の影響 特に抗精神病薬による自己刺激行動抑制作用と線条体ドーパミン受容体遮断作用との関連性
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概要
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ラット外側視床下部電気刺激による自己刺激行動に及ぼす向精神薬の影響を検討した.被検薬を経口投与して1,3,6および24時間後にそれぞれ10分間のレパー押し回数を測定した.抗精神病薬のchlorpromazine,thioridazine,perphenazine,haloperidol,floropipamide,pimozide,clocapramineおよびoxypertineは用量依存的に自己刺激行動を抑制した.carpipramineおよびsulpirideは80mg/kgで有意な影響を及ぼさなかった,ベンゾジアゼピン系(chlordiazepoxide,diazepam)およびチエノジアゼピン系(clotiazepam,etizolam)抗不安薬は5および25mg/kgで自己刺激行動を促進した.抗うつ薬のimipramineおよびamitriptylineは40mg/kgで自己刺激行動にほとんど影響を及ぼさなかった.交感神経α1 遮断薬のphenoxybenzamineは自己刺激行動を抑制したが,その用量―反応曲線の勾配は抗精神病薬に比べ,かなり緩やかであった.抗精神病薬による自己刺激行動の抑制作用は主にドーパミン受容体を介した機序により発現すると考えられた.そこで一側線条体を6-hydroxydopamineにより破壊したラットを用い,methamphetamineにより惹起される旋回行動を指標として,抗精神病薬の線条体ドーパミン受容体遮断作用を調べ,抗精神病薬による自己刺激行動抑制作用との関連性について検討した.自己刺激行動を抑制した抗精神病薬はすべて旋回行動を有意に抑制した.しかしながら各被検薬の両行動に対する抑制作用の程度は異なっていた.haloperidoIおよびpimozideは旋回行動をより強く抑制したのに対し,thioridazineは自己刺激行動をより強く抑制した.以上の成績より,自己刺激行動に対して,抗精神病薬と抗不安薬とは相反する作用を有し,抗精神病薬による自己刺激行動抑制作用と旋回行動抑制作用とは相関しなかったことから,自己刺激行動に関与するドーパミン受容体は線条体以外の部位にあることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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