ラット貧血性除脳固縮に対するBaclofenおよび各種筋弛緩薬の作用比較
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概要
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baclofenの筋弛緩効力をdantrolene,diazepam,chlordiazepoxideおよびtolperisoneと比較し,以下の成績を得た.すなわち,貧血性除脳固縮ラットの前肢に生じる持続性筋緊張は,baclofenおよびdantroleneにより抑制され,ED50値は,それぞれ2.9および22mg/kg(十二指腸内投与)であったがdiazepamは,これに影響を与えなかった.また,このラットの後肢に機械的刺激を加えることにより前肢に誘発される相動性筋緊張は,これら3薬物により減弱させられ,ED50値は,それぞれ6.2,140および1.4mg/kg(十二指腸内投与)であった.chlordiazepoxideおよびtolperisoneの固縮弛緩作用は極めて軽微であった.一方,ラットの懸垂試験で,baclofen,dantrolene,diazepamおよびchlordiazepoxideは筋弛緩作用を示し,そのED50値は,それぞれ12,35,6.5および64mg/kg(経口投与)であった.マウスのrotarod試験でもこれら4薬物は作用を示し,それぞれ5.6,15,2.1および44mg/kg(経口投与)のED50値であった.マウスの握力試験の結果も同様で,それぞれ9.5,17,4.3および33mg/kg(経口投与)のED25値を示した.一方,tolperisoneは無傷動物を用いたこれら3種の試験でも作用を示さなかった.以上の成績から,dantroleneは無傷動物で筋弛緩作用を起こす用量で,貧血性除脳固縮ラットの持続性筋緊張を比較的選択的に抑制すること,またdiazepamは無傷動物での有効量より少量で,固縮ラットの相動性筋緊張のみを選択的に抑制することが認められた.これに対し,baclofenは無傷動物に筋弛緩作用を起こす用量より少量で,持続性および相動性筋緊張の両方を抑制することが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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