抗高血圧薬,Budralazine の脳循環に及ぼす影響
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概要
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高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて,budralazine の大脳皮質頭頂部および尾状核の局所脳血流量(rCBF)に対する作用を水素クリアランス法によって検討し,以下の成績を得た.1)SHR に各種抗高血圧薬を経口投与し,平均血圧が 110〜120mmHgのレベルに下降した時点で rCBF を測定した.対照は,脱血によって同じレベルまで血圧を下降させた群を用いた.2) budralazine (40mg/kg)投与によって,大脳皮質頭頂部および尾状核のいずれの部位の rCBF も脱血対照群に比べ有意に増加し,それぞれの部位の脳血管抵抗(CVR)は有意に低下した.3) hydralazine (9mg/kg)は,budralazine と類似した有意な rCBF の増加および CVR の低下を示した.4) nifedipine (7mg/kg)は,rCBF をそれぞれの部位で有意に増加したが,その程度は budralazine に比べて軽度であり,CVR は低下傾向を示すにとどまった.5) prazosin (6mg/kg)および α-methyldopa (1,000mg/kg)は rCBF および CVR に対してほとんど影響を及ぼさなかった.6) budralazine (3〜10mg/kg)を静脈内投与した時,血圧を下降することなく大脳皮質頭頂部および尾状核のいずれの部位でも用量依存的かつ持続的な rCBF の増加を示した.7) reserpine (2mg/kg,i.P.)前処置によって,budralazine の rCBF 増加作用は尾状核で有意に抑制され,大脳皮質頭頂部では抑制傾向を示した.8) 6-hydroxydopamine(250μg/head,i.c.v.)前処置によって,budralazine の rCBF 増加作用は大脳皮質頭頂部で有意に抑制され,尾状核では抑制傾向にあった.以上の成績は,脳血流に対する作用に関して budralazine は prazosin および α-methyldopaと明らかに相違しており,budralazine による降圧効果発現時に脳血流が増加する可能性を示している.また,budralazine の rCBF 増加作用の一部にカテコールアミン神経系の関与が示唆された.
著者
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田中 眞
第一製薬代謝分析研究所
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田中 真
小野薬品工業株式会社開発研究所
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田中 覚
Research Institute Daiichi Seiyaku Co. Ltd.
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明石 章
第一製薬 中研
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田中 覚
第一製薬(株)中央研究所
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田中 真
第一製薬(株)中央研究所
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明石 章
第一製薬(株)中央研究所
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