抗高血圧薬Budralazineの実験的糖尿病合併高血圧ラットにおける糖および脂質代謝に及ぼす影響
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概要
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SHRを用いて糖尿病合併高血圧モデルの作製を試み,このモデルに対するbudralazine(Bud)の糖および脂質代謝に及ぼす影響を検討し,以下の成績を得た.1) SHRに10%蔗糖液を3ケ月間飲水させることによって血清インスリン値の上昇(Δ70%)および耐糖能異常が認められた.また,ΣΔ4IRI/ΣΔBSは低値を示したことから,このモデルが臨床でのインスリン非依存型糖尿病(NIDD)合併高血圧症の病態に類似していることがうかがわれた.一方,SHRにstreptozotocin(30 mg/kg, i.v.)を投与すると,血清インスリン値の低下(Δ−60%),耐糖能異常およびΣΔIRI/ΣΔBSの低下が認められインスリン依存型糖尿病(IDD)合併高血圧症に近い病態の得られることがわかった.2) 正常血圧ラット(NR),SHR,IDD-SHRおよびNIDD-SHRにBud(15,30および60 mg/kg/day)を連投しても,耐糖能血清インスリン値,血清脂質レベルおよび血清電解質に異常は認められなかった.その際,Budの連投によってSHRにおいて用量依存的な血圧下降がみられ,糖尿病合併高血圧モデルにおいても有意な降圧活性が認められた.3) NRにおいて耐糖能異常誘発が知られているfurosemide(FM,50および100 mg/kg/day)を連投すると用量依存的な耐糖能異常,ΣΔIRI/ΣΔBSの低下および血清K値の低下が認められた.さらに,FMの耐糖能異常誘発作用は,IDD-SHR>SHR>NRの順により著明に発現した.これらのFMの作用は,0.1%KClの飲水あるいはtriamtereneの併用によって抑制された.従って,FMによる上記用量での耐糖能悪化作用には,K喪失によるインスリン分泌不全が部分的に関与していることが示唆された.一方,BudはSHRおよび糖尿病合併高血圧ラットにおいて明らかな降圧作用を示すが,糖および脂質代謝には何ら影響を及ぼさないことが判明した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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