CholesterolおよびVitamin D<SUB>2</SUB>負荷モルモットの動脈硬化形成
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概要
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モルモットに1%cholesterol+vitamin D<SUB>2</SUB>(75万単位/kg飼料)添加飼料を与え6週間飼育すると,肉眼的に明らかな動脈硬化病変が誘発した.病理組織学的には大動脈や腸間膜動脈などの囚膜の細胞浸潤および細胞増殖,内,中膜の石灰化が主な変化として認められた.アテローム変性は認められなかった.大動脈にはcholesterolおよびcalciumの著明な増加が認められ,cholesterolは主にcholesteryl esterであった.また,大動脈calciumとphosphorus含量との間に相関性が認められたことから,calcium-phosphate complexの形で蓄積されると考えられた.大動脈のsulfateとかhydroxyproline含量には変化がなかった.このような動脈硬化病変は1%cholesterolまたはvitamin D<SUB>2</SUB>(75万単位/kg飼料)添加飼料単独負荷ではほとんど認められないか,認められても極めて軽症であった。ついで,今回作製したモルモットの動脈硬化モデルを用いて薬効評価を試みたところ,sodium 4-(hexadecylamino)benzoate(cetaben)(90mg/kg/day,p.o.)およびtrisodium ethane-1-hydroxy-1,1-diphosphonatc(EHDP)(5mg/kglday,s.c.)に著明な予防効果が認められた.cetabenは血清および大動脈のcholesterol低下作用およびHDL-cholesterol上昇作用により,EHDPは大動脈へのcalcium沈着抑制作用によって抗動脈硬化作用を示すと考えられた.すでに形成した動脈硬化の治療実験においてはEHDPに大動脈calcium除去作用の傾向が認められた程度で,cetabenやclofibrate投与による影響は認められなかった.一旦大動脈に沈着したcholestcrolやcalciumは除去されにくいと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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国友 勝
武庫川女子大・薬・薬理
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国友 勝
武庫川女子大・薬・薬理i
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阪東 芳雄
武庫川女子大学薬学部
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高岡 和代
武庫川女子大学薬学部薬理学教室
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松本 純子
武庫川女子大学薬学部薬理学教室
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岩井 ひとみ
武庫川女子大学薬学部薬理学教室
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