動脈硬化形成食負荷マウスの血清,肝臓および大動脈脂質異常に対する緑茶抽出物の予防効果
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概要
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マウスを動脈硬化形成食(コレステロール1.5%,コール酸0.5%およびリノール酸5%含有)にて14週間飼育したときの血清,肝臓および大動脈の脂質変化に及ぼす緑茶抽出物(50,100,200mg/kg/day)の影響について検討した.動脈硬化形成食で飼育した動物には,血清コレステロール(遊離型およびエステル型),リン脂質,過酸化脂質の各値の著しい増加,血清トリグリセリドおよびHDL・コレステロール値の減少,LCAT活性の低下,肝臓および大動脈のコレステロール(遊離型およびエステル型)値の著しい増加が認められた.緑茶抽出物を投与した動物では,動脈硬化形成食負荷による血清コレステロール値の増加が,実験開始6週以後軽度に抑制されはじめ,10週目に100および200mg/kg/dayの用量で有意な低下が認められた.また,実験期間を通じて血清過酸化脂質値の増加が用量依存的に著明に抑制された.血清リン脂質値の増加およびLCAT活性の低下に対しては軽度な抑制がみられたが,血清トリグリセリドおよびHDL-コレステロール値の減少にはなんら影響がみられなかった.緑茶抽出物の投与により,肝臓コレステロール濃度,とくに遊離型コレステロールの濃度が50および100mg/kg/dayの用量で有意に抑制された.しかし,最高用量の200mg/kg/dayでは有意な変化はみられなかった.大動脈へのコレステロールの蓄積に対して,緑茶抽出物の投与は用量依存的で有意な抑制を示した.以上の結果は,緑茶の飲用により動脈硬化の進展が予防され得ることを期待させるものである.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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