非ステロイド性抗炎症薬 Proglumetacin maleate の薬理学的研究 (第1報) 抗炎症作用
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概要
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新しいindomethacin(IND)の誘導体であるproglumetacin maleate(PGM)の急性ならびに亜急性・慢性炎症に対する作用を各種実験炎症モデルを用い,等モル用量のINDと比較検討した.急性炎症モデルである血管透過性亢進およびcarrageenin足浮腫に対して,被験薬1時間前投与時のPGMの効果はINDの約1/2であったが,4時間前投与時のPGMの効果は1時間前投与時の約2倍に増加した.kaolin足浮腫および紫外線紅斑に対するPGMの効果はINDよりも若干弱かった.carrageenin胸膜炎において,PGMの白血球遊走抑制作用は明らかにINDよりも強力であった.亜急性炎症モデルであるcarrageenin肉芽嚢法による抗滲出液作用および綿球法による抗肉芽腫作用は,PGMとINDでほぼ同等であった.慢性免疫炎症モデルであるadjuvant関節炎に対するPGMの予防効果は,adjuvant処置足の腫脹抑制でみるとINDとほぼ同等であったが,非処置足ではINDよりも強く,全身炎症症状の改善効果も著明であった.治療効果においても,PGMの効果はINDとほぼ同等以上であった.以上,PGMは急性炎症に対してはINDと同等か若干弱いが,その作用は概して遅効性であり持続的であった.急性炎症後期の白血球遊走抑制作用はINDよりも強く,亜急性・慢性免疫炎症に対してはINDより強いか同等の効果であった.これらの抗炎症作用態度より,PGMは特に慢性関節リウマチなどの慢性炎症性疾患に好ましい薬剤といえる.このPGMの抗炎症作用の大部分は生体内で代謝されたINDによるものと考えられるが,足浮腫試験でPGMを局所投与した際でも抗炎症作用が認められたことより,PGM本体も薬理活性を有する可能性も考えられ,PGMはいわゆるプロドラッグとは厳密な意味で少し挙動を異にするものであった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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三宅 秀和
大鵬薬品工業株式会社 薬理研究所
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角南 明彦
大鵬薬品工業
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山崎 靖人
大鵬薬品工業株式会社
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小野 尚彦
大鵬薬品工業株式会社研究開発本部
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山本 紀之
大鵬薬品工業(株)研究部薬理研究室
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山崎 靖人
大鵬薬品工業(株)研究部薬理研究室
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三宅 秀和
大鵬薬品工業(株)研究部薬理研究室
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小野 尚彦
大鵬薬品工業(株)研究部薬理研究室
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