新抗うつ薬,MO-8282の薬理学的性質(第1報)
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概要
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MO-8282(1,2,3,4-tetrahydro-2-methyl-9<I>H</I>-dibenzo[3,4:6,7]cyclohepta[1,2-c]pyridine maleate)の抗うつ薬としての薬理学的性質を行動薬理学および神経生化学的に検討した.MO-8282は,amitriptylineの1/10以下の少用量で強制水泳ラットの不動時間を短縮し,L-DOPA誘発常同行動を増強した.また,MO-8282の中等用量は,強制水泳マウスの無動時間を短縮し,嗅球摘出ラットのmuricideを抑制し,clonidine誘発行動抑制に拮抗した.さらに,MO-8282は軽度ながら,reserpine誘発眼瞼下垂を抑制したが,reserpine誘発低体温に影響しなかった.一方,MO-8282のtremorine誘発振戦,流涙,下痢に対する抑制作用は軽度であり,amitriptylineより弱かった.MO-8282は,ラット視床下部シナプトゾームへのnoradrenalineの取り込みをamitriptylineの1/20程度の効力で抑制したが,mianserinと同様にserotoninおよびdopamineの取り込みには,ほとんど影響しなかった.また,MO-8282の30mg/kg 1回投与により,noradrenaline代謝回転の亢進がみられたが,dopamineおよびserotoninの代謝回転は不変であった,一方,MO-8282は,noradrenaline,histamineおよびadenosine感受性adenylate cyclase活性を強力に抑制したが,その作用態度はimipramineと異なり,mianserinにむしろ類似していた.MO-8282はラット肝monoamine oxidase活性にほとんど作用しなかった.以上の結果から,MO-8282の薬理学的特性は,三環系抗うつ薬とは異なり,むしろmianserinに類似し,その作用がmianserinよりも強力な抗うつ薬としての可能性が示唆された.
著者
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橋詰 博幸
持田製薬(株)
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仁保 健
持田製薬(株)富士中央研究所
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山口 和夫
持田製薬(株)富士中央研究所
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伊藤 千尋
持田製薬(株)薬理研究所
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仁保 健
持田製薬 富士中研
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渋谷 靖義
持田製薬(株)富士中央研究所
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伊藤 千尋
持田製薬(株)富士中央研究所
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橋詰 博幸
持田製薬(株)富士中央研究所
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