中枢性鎮痛薬Buprenorphineの鎮痛作用および麻薬拮抗作用
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概要
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oripavine誘導体であるbuprenorphineの鎮痛作用,麻薬拮抗作用および耐性形成作用をマウス,ラットおよびウサギを用いて検討した.buprenorphineは化学刺激,熱刺激,圧刺激および電気刺激を侵害刺激として用いたいずれの鎮痛試験においても,対照薬として用いたmorphineおよびpentazocineに比べ低用量から鎮痛作用を示した.また,pentazocineでは鎮痛作用の認められなかった高強度輻射熱刺激によるDAmour-Smith法およびHaffner法による試験においても鎮痛作用が認められた.高強度輻射熱刺激によるDAmour-Smith法においてbuprenorphineは二相性の用量反応曲線を示し,非競合的自己抑制作用を有することが考えられた.buprenorphineの鎮痛作用はnaloxoneの前処置により拮抗された.しかしながらbuprenorphineの鎮痛作用が発現した後,naloxoneを投与するとbuprenorphineの作用は拮抗され難かった.buprenorphineの作用持続時間はmorphineおよびpentazocineに比べ長かった.ネコの歯槽神経を電気刺激し,大脳皮質,視床後内腹側核,視床外側中心核および中脳中心灰白質で記録される誘発電位に対してbuprenorphineはmorphineおよびpentazocineと同様に誘発電位の振幅を減少させた.buprenorphineはmorphine拮抗試験においてnaloxoneとほぼ同等あるいは1/2.6,pentazocineの126倍あるいは290倍のmorphine拮抗効力を示した.buprenorphineはmorphineおよびpentazocineと同様にラットでの鎮痛効力を指標とした耐性試験において耐性形成作用を示したが,耐性形成の程度はmorphineに比べ弱かった.これらの結果からbuprenorphineはopiate receptorに対してmorphineおよびpentazocineに比べて高い親和性を示し,pentazocineよりも高いintrinsic activityを有するagonist-antagonistであり,また作用持続時間の長い有用な鎮痛剤であることがうかがわれた.
著者
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新谷 成之
大塚製薬株式会社 徳島工場第一研究室
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桧山 隆司
大塚製薬株式会社徳島研究所生物研究部
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筒井 正博
大塚製薬株式会社徳島工場・生物研究所
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桧山 隆司
大塚製薬株式会社徳島工場・生物研究所
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保田 好信
大塚製薬株式会社徳島研究所生物研究部
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筒井 正博
大塚製薬株式会社徳島研究所生物研究部
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