N-CWSの宿主介在性抗腫瘍効果
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概要
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癌免疫療法剤として開発されたNocardia rubraの細胞壁骨格(N-CWS)の抗腫瘍効果発現における宿主機能の関与について,BALB/c系マウスの同系腫瘍を用いて検討した.BALB/c系マウスに同系線維肉腫Meth AとN-CWSとを混合して皮内移植,もしくはMeth A細胞を皮内移植後N-CWSを腫瘍移植部位に投与すると,Meth A細胞の生着,及び増殖は抑制された.N-CWSのこの抗腫瘍効果は,T細胞機能が欠損しているBALB/c系ヌードマウスでも認められた.しかし,ハイドロコーチゾン,カラゲニン,あるいはシリカで処理するといずれのマウスでもN-CWSの効果は減弱することからマクロファージの関与が示唆された.マウスにN-CWSを皮内投与した部位には,Meth A細胞に対してin vitroで傷害性を示す細胞が,投与後3日目から認められた.一方,N-CWSの投与により腫瘍が退縮した正常マウスにおいては,全身的な腫瘍特異的抵抗性の成立がみられたが,ヌードマウスでは認められなかった.この抵抗性はWinnテストの結果より,液性成分ではなく,細胞成分により担われていることが示された.このように局所投与におけるN-CWSの抗腫瘍効果は宿主の免疫機能を介して発現されるが,投与直後においては,投与部位におけるマクロファージの活性化により抗腫瘍効果が発現され,次いで成立する全身的腫瘍特異的抵抗性によって,更に抗腫瘍活性を示すことが示唆された.
著者
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妹尾 八郎
藤沢薬品工業(株)研究本部
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下村 恭一
藤沢薬品工業(株)開発研究所
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森 襄
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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藤津 隆
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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平井 収
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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森 襄
藤沢薬品工中央研究所
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菊地 博之
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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奥 良也
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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佐藤 寿
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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円入 克介
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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妹尾 八郎
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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下村 恭一
藤沢薬品工業(株)中央研究所
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