大豆粕乾留タール(Glyteer)の抗炎症作用(第2報) CMC-pouch法によるタンパク滲出と白血球遊走抑制作用態度について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
大豆粕乾留タール(Glyteer:GL)は脱脂大豆を400〜500°Cで加熱乾留して得られる暗褐色粘稠な液体である.今回,CMC-pouch法を用いタンパク滲出および白血球遊走に対するGLのpouch内投与による作用を検討した.さらに,その作用態度をステロイド系抗炎症薬(SAID),非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)および他のタール剤とも比較検討した.1)GL(10mg)pouch内投与により,タンパクの滲出はCMC処理後1.5〜7.5時間まで有意に抑制された.2)このGL(10mg)のタンパク滲出抑制作用(CMC処理後3時間)は,flufenamic acid (FA,10mg)およびphenylbutazone(PB,10mg)とほぼ同程度の強さを示し,betamethasone l7-valerate(BV,1mg),bufexamac(BM,10mg),bendazac(BZ,10mg),ichthammol(IT,10mg)およびpine tar(PT,10mg)より強かった.3)GL(10mg)pouch内投与により白血球の遊走はCMC処理後1.5〜6時間まで有意に抑制された.4)このGL(10mg)の白血球遊走抑制作用(CMC処理後3時間)は,FA(10mg)およびBZ(20mg)とほぼ同程度の強さを示し,PB(10mg),BV(1mg),BM(10,20mg),BZ(10mg),IT(10mg)およびPT(10mg)より強かった.5)好中球遊走抑制作用はGL(10mg),PB(10mg),BZ(20mg)およびFA(10mg)でほぼ同程度の作用を示し,これはBV(1mg),BM(10,20mg),BZ(10mg),IT(10mg)およびPT(10mg)より強い作用であった.6)マクロファージ遊走抑制作用はGL(10mg),BZ(20mg),FA(10mg)およびIT(10mg)でほぼ同程度の強さを示し,PB(10mg),BV(1mg),BM(10,20mg),BZ(10mg)およびPT(10mg)では作用が弱かった.GLがタンパク滲出および白血球遊走に対し強い抑制作用を有することは,GLの抗炎症作用の重要な機序のひとつであることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- 大豆粕乾留タール(Glyteer)の薬理学的研究(第5報)-抗菌作用-
- 大豆粕乾留タ-ル(Glyteer)の薬理学的研究-4-抗乾癬作用
- 大豆粕乾留タ-ル(Glyteer)の抗炎症作用-3-1-4型アレルギ-反応に対する作用
- 大豆粕乾留タ-ル(Glyteer)の抗炎症作用-2-CMC-pouch法によるタンパク滲出と白血球遊走抑制作用態度について
- ラット子宮によるProstaglandinの生物学的検定法
- 実験的糸球体腎炎ラットにおける尿中Prostaglandin Eの排泄について
- 大豆粕乾留タール(Glyteer)の薬理学的研究(第4報)―抗乾癬作用―
- 大豆粕乾留タール(Glyteer)の抗炎症作用(第3報) I-IV型アレルギー反応に対する作用
- 大豆粕乾留タール(Glyteer)の抗炎症作用(第2報) CMC-pouch法によるタンパク滲出と白血球遊走抑制作用態度について
- 大豆粕乾留タール(Glyteer)の抗炎症作用(第1報) 局所適用による抗炎症作用態度について
- ラット腎髄質組織からのProstaglandin E遊離に対するTheophyllineの作用
- 食塩および水負荷ラットにおける尿中 Prostaglandin E 排泄に対する Methylxanthine 類の効果
- ラット尿中Prostaglandinの生物学的測定について
- Prostaglandinの生成と遊離に対する非ステロイド系抗炎症薬の阻害作用について