マウスおよびラットにおける Flunitrazepam の麻酔剤および鎮痛剤の作用に対する併用効果
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概要
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benzodiazepine 誘導体である flunitrazepam の麻酔導入剤としての有効性を動物レベルで実証するため,マウスおよびラットを用いて flunitrazepam を静注した際の各種麻酔剤あるいは鎮痛剤の作用に対する併用効果を調べた.flunitrazepam 単独では 0.01〜1mg/kg i.v. により用量依存的に鎮静,筋弛緩作用が認められたが,大量の lmg/kgでも麻酔作用(正向反射の消失)は認められなかった.flunitrazepam を各種麻酔剤と併用するとそれらの麻酔作用を著明に増強した.即ち,無作用量の pentobarbital,thiopental,ketamine および thalamonal は flunitrazepam 0.01mg/kg 以上の併用で麻酔作用を示し,麻酔量の作用は著明に延長された.また,吸入麻酔剤においても麻酔発現時間の短縮および麻酔からの回復時間の延長が認められた.一方,flunitrazepam 単独では,マウス酢酸 writhing に対して 0.1mg/kg i.v. 以上で用量依存的に抑制が認められ,ラット tail pinch 法では1mg/kg でのみ刺激閾値は50%上昇したが,その他の鎮痛試験ではほとんど無作用であった.flunitrazepam を各種鎮痛剤と併用すると,morphine,pentazocine および thalamonal の酢酸 writhing 抑制作用は増強され,各 ED50 値は flunitrazepam の用量増加とともに低値を示した.マウス hot plate 法では morphine の反応時間延長作用は flunitrazepam 0.01mg/kg 以上の併用により増強され,morphine の無作用量 2mg/kg とflunitrazepam 0.1mg/kg の組み合わせでmorphine 4mg/kg より強い鎮痛作用を示した.ラット tail pinch 法では,morphine やpentazocine の刺激閾値上昇作用は flunitrazepam 0.1mg/kg 以上で増強された.ラット bradykinin 侵害反応に対する morphine の抑制作用は flunitrazepam 1mg/kg によって著明に増強された.以上の結果から flunitrazepam は麻酔導入剤としての臨床応用が期待できる.
著者
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尾崎 覚
エーザイ株式会社薬物応用研究部薬物評価室
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山津 清実
エーザイ株式会社研究所
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金子 武稔
エーザイ株式会社薬理研究所
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金子 武稔
Tsukuba Research Laboratories Eisai Co. Ltd.
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山津 清実
エーザイ株式会社検査所薬理室
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尾崎 覚
エーザイ株式会社東京研究所
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尾崎 覚
エーザイ株式会社薬理研究所
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金子 武稔
エーザイ株式会社筑波研究所
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