血管作動薬および下歯槽神経電気刺激のイヌ歯髄血流量におよぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
歯髄における循環調節の詳細は,方法論上の遅れから明確に説明されていない.本研究では,レーザードップラー血流量測定法を応用し,血管作動物質の歯髄局所適用および下歯槽神経電気刺激によって得られる歯髄血流量変化を指標として,歯髄循環反応性を検討した.acetylcholine,isoprotereno1,histamine,およびsubstance Pの歯髄局所適用は,イヌ歯髄血流量を用量依存性に増加させ,この増加は,atropine,propranolol,diphenhydramine,および〔D-Pro<SUP>2</SUP>,D-Trp<SUP>7,9</SUP>〕-substance Pでそれぞれ抑制された.bradykininは歯髄血流量を用量依存性に増加させるものの,この効果は,des-Arg<SUP>9</SUP>-〔Leu<SUP>8</SUP>〕-bradykininでは抑制されず,indomethacinで抑制されるものであった.また,prostaglandin E<SUB>2</SUB>は,歯髄血流量を用量依存性に増加させた.norepinephrineは歯髄血流量を用量依存性に減少させ,この減少はphentolamineで抑制された.一方,下歯槽神経電気刺激による歯髄血流量の増加は,indomethacinで抑制されたが,atropine,propranolol,dlphenhydramine,soybean trypsin inhibitor,aprotinin,des-Arg<SUP>9</SUP>-〔Leu<SUP>8</SUP>〕-bradykinin,あるいは〔D-Pro<SUP>2</SUP>,D-Trp<SUP>7,9</SUP>〕-substance Pには影響されなかった.以上の結果から,bradykininの効果は,prostaglandins遊離にもとづくものであり,そして,実験に用いた血管作動物質が歯髄にそれぞれ存在すれば,歯髄循環系は十分これに反応することが確認された.また,bradykininの効果はB<SUB>2</SUB>-kinin受容体を介して生ずる可能性が示唆された.一方,下歯槽神経電気刺激で生ずる歯髄血流量増加は,自律神経系を介した血管拡張機構によるものではなく,逆行性刺激に応答した知覚神経を介する血管拡張によるものであり,主としてprostaglandinsの遊離に依存した反応であると考えられる.したがって,歯髄自体に,この機構に関連した局所調節が存在する可能性がある.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- バイタルブリーチング材のエナメル質への浸透
- 虚血病態における一酸化窒素(NO)動態/ATP再合成連関の解析
- 歯肉-虚血再灌流障害とBH4関連
- 生体 electron spin resonance(ESR)画像装置の顎顔面領域への応用
- 顎顔面領域へのin vivo electron spin resonance(ESR)imaging systemアプリケーション
- 虚血組織におけるESRと電極を用いた一酸化窒素(NO)定量
- 客観的臨床能力試験(OSCE)の繰り返し実施による教育効果
- 超音波刺激による歯肉循環改善効果について
- ヒト歯根膜線維芽細胞におけるニコチン刺激によるCytokineの発現
- 歯周組織に及ぼすウコンの効果
- 生体ラジカル検出とその展望
- 歯肉循環調節機構におけるNOの関与
- 口腔内組織微小循環動態の神経性調節
- 血管反応性修飾と活性酸素フリ-ラジカル種選択性
- ヒスタミンのウサギ舌動脈収縮機構
- Endotoxinによって生ずるB1-受容体を介した摘出ウサギ舌動脈の収縮反応
- 血管作動薬および下歯槽神経電気刺激のイヌ歯髄血流量におよぼす影響
- 炎症時におけるインプラント周囲軟組織の微小循環-血管鋳型法およびレーザードップラー血流計による微小循環動態の観察-
- ヒスタミンのウサギ舌動脈収縮機構
- Endotoxinによって生ずるB1-受容体を介した摘出ウサギ舌動脈の収縮反応
- 血管作動薬および下歯槽神経電気刺激のイヌ歯髄血流量におよぼす影響
- 齲蝕ならびに歯周病原菌に対する鶏血藤の殺菌効果