ヒスタミンのウサギ舌動脈収縮機構
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概要
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ヒスタミンによるウサギ摘出舌動脈収縮機構とその特性を検討した.ヒスタミンは内皮細胞非依存性に舌動脈を収縮させ,その作用はH<SUB>1</SUB>-受容体アンタゴニストであるジフェンヒドラミンにより競合的に拮抗され,電位依存性Ca<SUP>2+</SUP>チャネル(L型)遮断薬であるニフェジピン(10<SUP>-6</SUP>M)により有意に抑制された.細胞外Ca<SUP>2+</SUP>除去液中ではヒスタミン(10<SUP>-6</SUP>M)は一過性収縮のみ引き起こした.α-トキシンで処置することによって作成したスキンド標本では,ヒスタミン(10<SUP>-5</SUP>M)収縮は,リアノジン(30μM;pCa5.7,30mMカフェイン存在下)処置,カフェイン(30mM)反復処置によって消失したが,IP<SUB>3</SUB>(300μM)収縮は消失しなかった.またIP<SUB>3</SUB>反復処置によってヒスタミン,カフェイン共にその収縮作用は消失した.ヒスタミン反復処置によって収縮が出現しなくなったスキンド標本ではそれぞれカフェイン,IP<SUB>3</SUB>,ノルエピネフリン(NE10<SUP>-5</SUP>M)により収縮し,NE反復処置によって収縮が出現しなくなった標本ではヒスタミン収縮が認められた.ボスホリパーゼCとCキナーゼのそれぞれの阻害剤であるネオマイシン(5mM),H-7(10<SUP>-5</SUP>M)によりヒスタミン収縮は著明に抑制されたが,リアノジンをヒスタミンと共に処置してもカフェイン収縮には影響がなかった.以上の結果から,ヒスタミンによる舌動脈収縮反応はH<SUB>1</SUB>-受容体を介したものであり,IP<SUB>3</SUB>誘発性とCa<SUP>2+</SUP>誘発性のCa<SUP>2+</SUP>遊離機構を共有する細胞内Ca<SUP>2+</SUP>ストアからのCa<SUP>2+</SUP>遊離による初期相と,H<SUB>1</SUB>-受容体と共役した電位依存性Ca<SUP>2+</SUP>チャネル(L型)が関与した細胞外Ca<SUP>2+</SUP>流入による持続相から成立していると考えられる.H<SUB>1</SUB>-受容体とカップルしたホスホリパーゼCを介して産生されるIP<SUB>3</SUB>によって,ストア内のCa<SUP>2+</SUP>遊離を促進していると考えられるが,ヒスタミンによって産生されたIP<SUB>3</SUB>はストア内の一部のCa<SUP>2+</SUP>しか遊離させることができないこと,及びヒスタミン収縮は,Cキナーゼの活性化に依存したものであることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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塗々木 和男
神奈川歯科大歯全身管理医学講座薬理学分野
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塗々木 和男
神奈川歯大歯生体管理医学講座薬理学部門
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塗々木 和男
神奈川歯科大学2003年度osce実行委員会
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岡部 栄逸朗
神奈川歯科大学薬理学教室
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岡部 栄逸朗
神奈川歯科大学薬理学
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陶山 直昭
神奈川歯科大学薬理学教室
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