無麻酔犬におけるIsosorbide dinitrate徐放性製剤の薬効薬理試験とそのBioavailability
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概要
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本実験は有機硝酸エステルの薬理作用と考えられているPre loadおよびafter loadの減少に起因する脈圧減少作用を応用して,isosorbide dinitrate(ISDN)の徐放錠および普通錠の薬理作用とその持続性を無麻酔イヌを用いて比較検討した.また両製剤の脈圧減少作用と血中濃度との関係を検討するために同時にISDNの血漿中濃度をガスクロマトグラフ法により測定した。両製剤の脈圧減少作用を比較するに先だって,試験方法の妥当性ならびに両製剤の至適投与量を検討するために,ISDN原末を用い,その脈圧におよぼす影響について検討した.ISDN1〜2mg/kg経口投与により用量依存的な脈圧減少作用が認められた.以上の成績を参考にして,ISDN普通錠の用量は2mg/kg(約10kgのイヌに対して4錠)が適量と考えられた.一方徐放錠の用量設定については,普通錠投与時におこる脈圧減少の最大反応とほぼ同等な最大反応が得られるような量を検討したところ,本剤においては8mg/kg(約10kgのイヌに対して4錠)が適量であった.普通錠投与による脈圧減少作用は投薬後2時間で最大を示し,その減少率は39.1±3.5%であった.しかし,その脈圧減少作用は投薬後6時聞で投薬前のレベルに回復した.一方,徐放錠投与による脈圧減少作用は投薬後4時間で最大を示し,その減少率は48.3±6.0%であった.また本剤においては投薬後10時間でも33.3±8.9%の脈圧減少作用が認められた.同時に測定した血漿中濃度の推移でも投薬後2〜10時間で徐放錠が明らかに持続性であることが確認された.以上で得られた脈圧減少作用の経時的推移とその血漿中濃度との間には大略相関性が認められた.以上の成績より本実験でとり上げた脈圧測定法はISDNの薬効を評価するのに有用なものと考えられる.しかも本研究において,徐放性という製剤学的特性を有するISDN徐放錠はその普通錠と比較して薬効が著明に持続することが証明され,臨床上も狭心症発作の予防薬として優れた持続効果が期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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木村 哲夫
東亜栄養化学工業株式会社研究所
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千田 敏
東亜栄養化学工業株式会社研究所
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斎藤 輝男
東亜栄養化学工業株式会社研究所
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古城 健太郎
東亜栄養化学工業株式会社研究部
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斎藤 輝男
東亜栄養化学工業(株)福島研究所
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木村 哲夫
東亜栄養化学工業株式会社研究部
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木村 哲夫
東亜栄養化学工業(株)福島研究所
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古城 健太郎
東亜栄養化学工業(株)福島研究所
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斎藤 輝男
東亜栄養化学工業 (株) 福島研究所
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千田 敏
東亜栄養化学工業 (株) 福島研究所
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