無麻酔犬におけるIsosorbide dinitrateテープ剤の血行動態におよぼす影響とそのPharmacokinetics
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
亜硝酸剤の薬理作用と考えられている前負荷および後負荷の減少に起因する脈圧減少作用を応用して,無麻酔犬でisosorbide dinitrate(ISDN)テープ剤の作用強度および持続性をISDN徐放錠と比較検討した.また両製剤の脈圧減少作用と血漿中ISDN濃度およびその代謝物isosorbide 2-mononitrate(2-ISMN),isosorbide 5-mononitrate(5-ISMN)濃度との関係についても検討を加えた.ISDN徐放錠40mg/dog(20mg×2錠)経口投与により脈圧は徐々に減少し,投与後3時間で最大36.9%減少した.その後作用は徐々に減弱したが12時間まで有意な減少が認められた.一方,ISDNテープ剤40mg/dog(1枚)貼付による脈圧減少作用は徐放錠40mg/dogと比較して効果発現は緩やかで,最大効果の指標値はわずかに低いが,貼付後12時間で脈圧は最大34.8%減少し,48時間後まで安定した作用を示した.ここで得られた脈圧減少の経時的推移と血漿中ISDN濃度の経時的推移との間にはそれぞれ相関性が認められた.ISDNの最高血漿中濃度は,徐放錠投与の場合と比較してテープ剤の方が約1.7倍高く,貼付後48時間まで高い値を維持したが,代謝物の2-ISMNおよび5-ISMNの最高血漿中濃度は逆にテープ剤の方がそれぞれ1/15および1/17と極めて低い値を示した.またISDNテープ剤貼付後の血漿中ISDN濃度のピーク値に対する2-ISMNおよび5-ISMNのピーク値の比率はそれぞれ1/2.5および10倍であったが,ISDN徐放錠の場合はそれぞれ10倍および300倍と極めて高い値を示した.以上の成績は,ISDNテープ剤貼付の場合,ISDN徐放錠投与の場合と異なり肝臓での“first-pass” effectを受けないためと考えられる.さらにISDNテープ剤はISDNの新しい投与形態として,薬理学的作用の上からもpharmacokineticsの面からも合理性を有しているものと思われ,狭心症の予防と治療に一層長時間安定した効果を発揮するものと期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
木村 哲夫
東亜栄養化学工業株式会社研究所
-
斎藤 輝男
東亜栄養化学工業株式会社研究所
-
古城 健太郎
東亜栄養化学工業株式会社研究部
-
田中 修
東亜栄養化学工業(株)福島研究所
-
斎藤 輝男
東亜栄養化学工業(株)福島研究所
-
木村 哲夫
東亜栄養化学工業(株)福島研究所
-
古城 健太郎
東亜栄養化学工業(株)福島研究所
-
斎藤 輝男
東亜栄養化学工業 (株) 福島研究所
-
田中 修
東亜栄養化学工業 (株) 福島研究所
-
木村 哲夫
東亜栄養化学工業 (株) 福島研究所
関連論文
- 高速液体クロマトグラフィーによる生体中のN-Acetyl-L-cysteineの微量けい光測定法
- シロネズミ皮膚及び肝脂質代謝に及ぼすビタミンB_2欠乏の影響並びにFAD,ピリドキサルリン酸の効果
- リボフラビン誘導体の薬理学的研究 : (IV)2', 3'-Di-o-nicotinoyl riboflavin-4'(5')-phosphateの一般薬理作用
- Partially Saturated 2-Naphthalene-および2-Naphthylidene-酢酸誘導体の合成
- リボフラビン誘導体の薬理学的研究 : (VI)2', 3'-Di-o-nicotinoyl riboflavin-4'(5')-phosphateの薬理作用機序
- 12-II-7 リボフラビン誘導体によるアデノシンの増強作用(研究発表)(日本ビタミン学会 : 第25回大会研究発表要旨)
- リボフラビン誘導体の薬理学的研究 : (V)2', 3'-Di-o-nicotinoyl riboflavin-4'(5')-phosphateのコレステロール低下作用
- 無麻酔犬におけるIsosorbide dinitrateテープ剤の血行動態におよぼす影響とそのPharmacokinetics
- N-Acetyl-L-Cysteine の気道系に対する作用 I.気道液と痰の量的質的変化
- 無麻酔犬におけるIsosorbide dinitrate徐放性製剤の薬効薬理試験とそのBioavailability
- リボフラビン誘導体の薬理学的研究 : (III)Ajmaline, Quinidine, Propranololの抗不整脈作用に及ぼす2', 3'-Di-o-nicotinoyl riboflavin-4'(5')-phosphateの影響
- リボフラビン誘導体の薬理学的研究 : (II)血管に対する作用
- リボフラビン誘導体の薬理学的研究 : (I)心臓に対する作用
- Ouabainの犬心臓血管作用に対するAjmalineの影響
- タイトル無し