心選択性β遮断薬Acebutololのラット血圧に対する作用
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概要
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心選択性を有するβ遮断薬の一種,acebutololのラット血圧と心拍数に及ぼす影響について,京都ウィスター系ラット(WKY),高血圧自然発症ラット(SHR)およびDOGA-食塩高血圧ラット(DOCAラット)を用いて,propranolol,practololとの作用を対照として比較検討した.WKYおよびDOCAラットに三種検体(0.5〜20mg/kg)を腹腔内投与すると,ある限られた範囲内では用量依存性に降圧作用が認められるが,高用量ではかえって降圧性が減弱される傾向にあった.心拍数はacebutolol,propranololによって減少したが,内因性交感神経興奮作用を有するpractololでは増加した,propranolo1をSHRに投与した場合,血圧はわずかに上昇後下降し,多少の変動を示したが有意な変化ではなく,practololではわずかな昇圧反応を示した.一方acebutololは0.5〜5mg/kgにより降圧作用を示さなかったが,10mg,20mg/kgと増量するに従い降圧作用は強められた.心拍数は三検体とも用量依存性に減少した.三種検体の降圧作用の強弱はWKY,SHRなどそれぞれの系統で異なっていて,降圧効果はWKYでpropranolol>acebutolol≈practololの順,SHRではacebutololにのみ降圧が見られ,DOCAラットでは三検体ともほぼ同程度の作用を示した.以上,WKYではpropranololがacebutololより降圧作用が強力であったが,SHRではpropranolol,practololが降圧作用をほとんど示さなかったのに対して,acebutololに降圧作用が認められたことから,acebutololは実験的高血圧ラットでpropranololより強い降圧性を有するβ遮断薬であることを示唆している.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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尾崎 正若
長崎大学医学部薬理学第2
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尾崎 正若
長崎大
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高海 直子
長崎大学医学部第二薬理学教室
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菅原 和信
長崎大学医学部第二薬理学教室
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尾崎 正若
長崎大学医学部第二薬理学教室
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尾崎 正若
長崎大学医学部
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