1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の作用機序に関する検討 ―ラット多核白血球および肥満細胞の諸機能に対する作用―
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概要
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SL-573(1-cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone)のラット多核白血球の遊走,貧食,貧食に伴う酸素吸収の増加,lysosome酵素の遊離およびラット肥満細胞からのhistamine遊離に対する作用をindomethacin(IM),ibuprofen(IP),mepirizole(MP),aspirin(AS)と比較した.多核白血球の貧食に対しては,SL-573は200μMでも25%以下の阻害作用しか示さず,また,IM(800μM:50〜80%)およびMP(1000μM:約25%)の作用も弱く,ASおよびIPは1000μMでもほとんど影響を与えなかった.一方,SL-573は多核白血球の遊走,貧食に伴う酸素吸収の増加,lysosome酵素の遊離およびラット肥満細胞からのhistamine遊離に対しては100μM以下の濃度で明らかな抑制作用を示した.特に,SL-573の貧食に伴う酸素吸収の増加に対する阻害作用は特異的で(IC<SUB>50</SUB>:23μM),IC<SUB>50</SUB>値で比較して,IMの17倍,IP,MP,ASの40倍以上の作用を示した.SI-573は,ラット多核白血球の遊走に対しては58μMで50%阻害作用を示し,IM(IC<SUB>50</SUB>: 31μM)よりは劣ったが,IP(IC<SUB>50</SUB>: 68μM)とほぼ同等,AS(IC<SUB>50</SUB>: 460μM)およびMP(IC<SUB>50</SUB>: 370μM)よりも強い作用を示した.Lysosome酵素の遊離に対しては,SL-573は100μMで49.5%の抑制率を示し,IM(100μM: 11.8%)およびIP(100μM: 20.2%)よりも強い作用を示した.ASおよびMPは100μMではほとんどlysosome酵素の遊離抑制作用を示さなかった.肥満細胞からのhistamine遊離に対しては,SL-573は100μMで35〜58%の抑制作用を示し,IM(300μM: 43〜58%),IP(1000μM: 49〜51%),AS(1000μM: 1〜5%)およびMP(1000μM:1〜41%)よりも強い作用を示した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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柳 義和
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
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古閑 良彦
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
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犬飼 利也
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
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犬飼 利也
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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柳 義和
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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古閑 良彦
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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