1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の消炎作用に関する検討
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概要
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1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の消炎作用の性格とその効力を既知薬剤と比較検討した.ラットのcarrageenin足浮腫法でのSL-573の50%浮腫抑制量は60mg/kg(p.o.)で,50%浮腫抑制量で比較して,SL-573と同等の効力を得るためにはphenylbutazone(PB)およびibuprofen(IP)はその1.6倍量,mefenamic acid(MF)は3.3倍量,mepirizole(MP)は6.7倍量の投与量を要した.同じくラット足浮腫法でyeastを起炎剤とした時のSL-573の効力はIPとほぼ同等でMPの100mg/kg投与時の効力はその1/4量のSL-573投与時の効力と同程度であった.またdextranを起炎剤とした時のSL-573の効力はIPおよびMPのそれより有意に強く,一方formalin浮腫法ではIP,MPと同様浮腫抑制効果が認められなかった.マウス酢酸腹腔内投与時の血管透過性充進をSL-573は強く抑制しED50値で比較してSL-573と同等の効力を得るためにはPBはその12倍,MFは17倍の投与量を要した.ラット綿球法および濾紙浸漬法でSL-573は全身作用としても局所作用としても肉芽腫形成に大きな影響を示さなかった.SL-573のラットadjuvant関節炎予防効果および治療効果はPBのそれに劣らないものであった.ラットの実験創傷の治癒の経過には体重増加抑制のみられる毒性量(400mg/kg/day)投与時にのみ若干,遅延の傾向がみられた.SL-573のcarrageenin浮腫抑制効果は副腎摘出ラットでも減弱せず,その効果は副腎ホルモンを介さないものと考えられた.SL-573のラットでの胃出血作用は他の非ステロイド系消炎剤に比べて弱く小腸潰瘍作用は800mg/kgの大量投与時にもみられなかった.一方,SL-573はindomethacinとの併用時にその小腸潰瘍の発現を抑制する性質を示した.こうした性質は既知非ステロイド系消炎剤の中ではきわめて特長的なものであると考えられた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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柳 義和
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
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古閑 良彦
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
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犬飼 利也
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
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黒川 寛
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
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粟田 弘
住友化学工業株式会社医薬事業部研究開発センター
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黒川 寛
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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黒川 寛
住友化学工業株式会社医薬事業部研究開発センター
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犬飼 利也
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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柳 義和
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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柳 義和
住友化学工業株式会社医薬事業部研究開発センター
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古閑 良彦
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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犬飼 利也
住友化学工業株式会社医薬事業部研究開発センター
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粟田 弘
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
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