1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の鎮痛・解熱作用に関する検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1-Cycolopropylmethy1-4-pheny1-6-methoxy-2(1H)-quinazolione(SL-573)の鎮痛・解熱作用の性格とその効力を既知薬剤と比較検討した.化学刺激法で本剤はindomethacinとaminopyrine(AM)との中間に位置する鎮痛効力を示しED50値の比較からSL-573と同等の効力を得るためにはAMはphenylquinone writhing法で本剤の3.2倍,acetic acid writhing法で4.1倍,Randall and Selitto法で6.3倍の投与量を要した.SL-573のこのような鎮痛効力はcodeineのそれに匹敵する強力なものと考えられた.本剤は機械的あるいは熱刺激法で無効であり,その鎮痛作用はnaloxone(NX)により拮抗されず,またmorphineに対してNX様の拮抗作用を示きない等その化学構造から容易に推定されるごとく麻薬あるいは麻薬拮抗性化合物とは性質を異にし解熱性鎮痛剤あるいは消炎剤としての性質を示した.本剤はマウスおよびラットにおける連続投与時に鎮痛効力について耐性を生じなかった.本剤はウサギ坐骨神経刺激時の高位痛覚求心路における誘発電位に影響を与えずその鎮痛作用の作用点は知覚神経末梢であり,本剤のprostaglandin生合成阻害作用は鎮痛作用発現の作用機序の一つの説明となると考えられた.SL-573はウサギおよびラット正常体温に事実上影響を与えず,腸チフス・パラチフス混合ワクチン発熱ウサギおよびyeast発熱ラットにおいて強い解熱作用を示した.その解熱効力を臨床的に強力な解熱剤として知られるAMと比較すると,ウサギでは両者同等の効力であり,ラットではSL-573と同等の解熱効力を得るためにはAMはその4倍の投与量を要した.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
柳 義和
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
-
古閑 良彦
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
-
犬飼 利也
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
-
黒川 寛
住友化学工業株式会社医薬事業部研究部
-
粟田 弘
住友化学工業株式会社医薬事業部研究開発センター
-
黒川 寛
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
-
犬飼 利也
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
-
柳 義和
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
-
古閑 良彦
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
-
粟田 弘
住友化学工業株式会社 医薬事業部研究開発センター
関連論文
- 1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の解熱作用に関する検討(その2)
- 1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の作用機序に関する検討 ―ラット多核白血球および肥満細胞の諸機能に対する作用―
- 1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の消炎作用に関する検討
- 1-Cyclopropylmethyl-4-phenyl-6-methoxy-2(1H)-quinazolinone(SL-573)の鎮痛・解熱作用に関する検討