新向精神作用薬,CS-430の中枢神経系におよぼす影響
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概要
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新向精神作用薬,CS-430(10-bromo-2, 3, 7, 11b-tetrahydro-11b-(2-fluorophenyl)-oxazolo(3 2d)[1, 4]benzodiazcpinc-6(5H)-one)は,3mg/kg(p.o.)では正常ラットの総覚醒,徐波睡眠および逆説睡眠時間にいずれも顕著な影響をおよぼさないが,入眠時間を有意に短縮し,p-chlorophenylalanincによって不眠にしたラットの総覚醒および徐波睡眠時間をそれぞれ有意に減少ならびに増加させた.また入眠時間も有意に短縮した.正常ウサギでは,CS-430は総睡眠時間を著明に延長し,入眠時間を短縮した.また同量のCS-430は,ウサギの後部視床下部刺激による覚醒反応を抑制したが,中脳網様体刺激による同反応には無影響であった.さらに,海馬後発射を上記の催眠用量で抑制した.これらのCS-430の作用は,いずれもnitrazepam(NZP)の作用とはほぼ同程度の強度であった.CS-430は,ネコのSherrington型除脳固縮(1〜3mg/kg,p.o.)を著明に,また脊髄多シナプス反射(10mg/kg,p.o.)を軽度に抑制し,後根反射電位(30mg/kg,p.o.)を増大させたが,貧血性固縮(40mg/kg,p.o.)および脊髄単シナプス反射(40mg/kg,p.o.)には無影響であった.また,1〜5mg/kg(p.o.)のCS-430は,腰仙髄γ運動ニューロンの自発性活動ならびに対側大脳皮質運動野および後部視床下部刺激によるγ運動ニューロンの興奮をいずれも抑制した.さらに,ウサギのAugmenting response,Recruiting response,ネコの視床-大脳皮質,後部視床下部-大脳皮質,嗅球-梨状葉および後部視床下部-海馬間の各誘発電位をいずれも,CS-430(10mg/kg,p.o.)は抑制しなかったが扁桃核基底核および腹側海馬-船首回の短潜時およびそれにつづく長潜時の陰性電位をいずれも顕著に抑制した.即ち,CS-430はNZPと同程度の催眠作用を有し,既知benzodiazepine系薬物と定性的に同じ作用を中枢神経系に生ずるが,下行性には脳幹部に,また大脳辺縁系では特に海馬,扁桃および船首回のいずれかにその作用部位をもつ可能性が示唆された.
著者
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岩田 宜芳
三共(株)神経科学研究所
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三国 直二
三共株式会社中央研究所生物学研究第一部
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岩田 宜芳
三共株式会社中央研究所
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小林 和雄
三共株式会社中央研究所
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原 隆夫
三共株式会社中央研究所
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松村 昌子
三共株式会社中央研究所
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出口 健彦
三共株式会社中央研究所
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三国 直二
三共株式会社中央研究所
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出口 健彦
三共株式会社 中央研究所 薬理部
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岩田 宜芳
三共株式会社 中央研究所 薬理部
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