ヒ素代謝に関する研究(第20報)ヒ素慢性中毒を発生させたラットのヒ素の臓器内蓄積並びに糞便,尿への排泄に関する研究
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概要
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ヒ素慢性中毒を発生きせたclosed colony(田村,1950)のWistar系albino ratの臓器,糞便,尿のヒ素量をarsenic analyzer unitで測定した.動物は約100匹に粉乳を主成分とする飼料および雑殻飼料の2種類を与えた.ヒ素剤はヒ素混合物(As<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>として100ppmに調整)とAs<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB> 100ppmを両飼料にそれぞれ添加した.実験はヒ素添加飼料を6ヵ月,以後ヒ素無添加飼料を6ヵ月与えてヒ素量を測定した.体重の増加は両飼料群とも対照群との間に差異はなかった.臓器のヒ素量はヒ素無投与群でも僅かながら増加した.脳のヒ素量は粉乳飼料群では雑殻飼料群よりも6,12ヵ月の蓄積は少なかった.両ヒ素剤を添加した場合も同じ傾向であった.しかし12ヵ月では両飼料群は対照群と差異ないまでに減少した.肝,脾,肺についても粉乳飼料群は雑殻飼料群より蓄積は少なかった.しかし両飼料群とも12ヵ月後も対照群より高かった.腎は粉乳飼料群では雑殻飼料群より著しく少なく,12ヵ月では対照群と差異はなかったが雑殻飼料群では高かった.糞便のヒ素量は両ヒ素剤とも雑殻飼料群では粉乳飼料群より数値的に高い傾向を示した.また尿のヒ素量はこれとは反対に雑殻飼料群では粉乳飼料群より少ない傾向を示した.12ヵ月後の糞便,尿のヒ素量はヒ素剤投与停止の6ヵ月に比べてかなり減少したが対照群に比べて遥かに高かった.
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