ラット脳および腎L-芳香族アミノ酸脱炭酸酵素による3,4-DihydroxyphenylserineからのNorepinephrineの生成
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概要
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脳および腎臓L-芳香族アミノ酸脱炭酸酵素粗酵素標品を用いて,3,4-dihydroxyphenyl-serine(DOPS)の脱炭酸反応を検討した.1)DOPS脱炭酸の反応条件を検討した.反応開始後20分間は直線的に反応が進行した.pH7.8〜8.2および反応温度37°Cで最大反応速度が得られた.(腎酵素によるracemicerythro-DOPS脱炭酸反応は例外で,45°Cまで直線的に増大した).2)この条件下での脳および腎酵素でのNE生成量はracemicerythro-DOPSが最も大きく,次でL-threo-DOPS,racemic threo-DOPSの順で,D-erythro-DOPSおよびD-threo-DOPSからのNE生成はほとんどみとめられなかった.脳酵素ではL-threo-DOPSに対するKm1.43×10<SUP>-3</SUP>M,Vmax2.22nmoles NE/mg/15min,racemic erythro-DOPSに対するKm10<SUP>-3</SUP>M Vmax,4.3nmoles NE/mg/15min,であり,腎酵素ではL-threo-DOPSに対するKm1.37×10<SUP>-3</SUP>M,vmax 21nmoles NE/mg/15min,racemic erythro-DOPSに対するKm8.7×10<SUP>-4</SUP>M,vmax 16,7nmoles NE/mg/15minであった.3)L-threo-DOPSの脱炭酸酵素による反応はD-thrco-DOPSにより阻害され,その阻害様式は非競合的であった.4)L-threo-DOPSおよびracemic-erythro-DOPSから生成したNEのウサギ大動脈条片収縮作用は,純品l-NE10<SUP>-8</SUP>g/mlに比べ,L-threo-DOPSからのNE10<SUP>-8</SUP>g/mlは約95%の反応を示したが,racemic-erythro-DOPSからのNE10<SUP>-8</SUP>g/mlはほとんど反応を示さなかった.以上の結果より,ラット脳および腎L-芳香族アミノ酸脱炭酸酵素によって,D-erythro-DOPS,D-threo-DOPSからほとんどNEは生成されないが,L-threo-DOPSからは1-NE,L-erythro-DOPSからはd-NEが生成されることが明らかにされた.D-threo-DOPSはL-threo-DOPSからのl-NEの生成を阻害するため,racemic-threo-DOPSよりは,L-threo-DOPSが有効なl-NE前駆物質であると考える.
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