新規ビンカアルカロイド系抗癌薬酒石酸ビノレルビン (Navelbine®)の抗腫瘍作用の特徴
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概要
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酒石酸ビノレルビン (VNR) は Potier らによって半合成された新規のビンカアルカロイド誘導体である. VNRは他のビンカアルカロイドと比べ同等以上の抗腫瘍効果を示し,神経毒性が弱いという特徴を持つ.ヌードマウス移植ヒト腫瘍モデルにおいて, VNR はヒト腫瘍11株(非小細胞肺癌:4株,乳癌:3株,結腸癌:2株,胃癌:2株)のうち,非小細胞肺癌4株,乳癌2株および胃癌2株,計8株に対して有意な増殖抑制効果を示した.特にVNRは非小細胞肺癌の LC-6 および乳癌 MX-1 に対して腫瘍の退縮を伴う抗腫瘍効果を示した. VNRの非小細胞肺癌に対する抗腫瘍効果は,非小細胞肺癌の適応を持つビンカアルカロイド系抗癌薬のビンデシン (VDS) と比べ優れていた.また, VNR とシスプラチン (CDDP) との併用療法は,従来の標準療法である VDS と CDDP との併用に比べ優れていた. VNR の低神経毒性は, VNR の有糸分裂期の紡錘糸微小管に対する作用よりも神経軸索の微小管に対する作用が弱いことに起因すると考えられた.神経軸索の微小管が紡錘糸微小管より低感受性であることについては,微小管構成タンパクの一つである TAU タンパク異性体の関与が推察された.臨床において, VNR は非小細胞肺癌に対して従来の VDS に比べ有意に高い奏効率を示し, CDDP と併用すると VDS より奏効率および生存期間において有意に優れていた.乳癌に対しては,1st line だけでなく2nd lineとしても優れた奏効率が報告され,更にアントラサイクリン,5-FU,Taxol 等との併用で,優れた腫瘍効果が報告されている.本邦においては,現在,乳癌を対象とした治験が進行中である.
著者
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大森 健守
協和発酵工業 医薬総研
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金澤 純二
協和発酵工業株式会社医薬総合研究所
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森本 眞
脇和発酵工業株式会社医薬カンパニー医薬開発本部医薬開発センター
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大森 健守
協和発酵工業株式会社医薬総合研究所
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- 協和発酵工業(株) 医薬総合研究所 開発研究所 開発薬理研究部門