低分子量G蛋白質RhoとRhoエフェクターの細胞内機能と薬物制御
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概要
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Rhoは分子量2万の単量体で働くいわゆる低分子量GTP結合蛋白質の一つで、不活性体であるGDP結合型と活性化体であるGTP結合型の間を往復して細胞反応の分子スイッチとして働いている。Rhoの機能はGTP結合型の発現による活性化の表現型とRhoを特異的に不活化するボツリヌスC3酵素が引き起こすRho不活化の表現型を比較することにより解析されてきた。これによりRhoがアクトミオシン系の制御を介して、平滑筋の収縮、細胞の基質への接着と移動、細胞質分裂に関与していることが明らかになった。Rhoの作用はRhoが下流のエフェクター分子に働いて発現されると考えられる。我々は、GTP型Rhoへの選択的結合性に基づいて、これまでに8種類のRhoエフェクター分子を単離している。このうち、Rho結合キナーゼ(ROCK)はミオシンの脱リン酸化酵素の不活化を介してアクトミオシン収縮性の亢進を、mDiaはプロフィリン結合を介してアクチン重合に働くことが明らかになっている。更に平滑筋弛緩薬として開発されてきた化合物Y-27632がROCKの特異的阻害薬であることが明らかになり、これを用いた解析によりRho-ROCK経路が血管平滑筋や気管支平滑筋の病態時の過剰収縮や、がん細胞の転移・浸潤及び細胞の悪性化に働くことが明らかになってきている。
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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