免疫したニワトリ卵黄から得られる抗B抗体の精製とその性状
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概要
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ニワトリをヒト血液型B血球で免疫すると,その卵黄に抗B抗体が移行した.この抗体活性を含むニワトリのIgY画分は哺乳類のIgG画分に相当し,ポリエチレングリコールとエタノールによって,他の卵黄成分から分離された.また,化学合成されたH-2型糖鎖(Fucα1-2 Galβ1-4 GlcNAcβR),A型三糖類(GalNAcα1-3[Fucα1-2]GalβR)やB型三糖類(Galα1-3[Fucα1-2]Ga1βR)をSilicaに結合させたSynsorbビーズを順次用いることで,抗B抗体が精製できることを明らかにした.こうして精製された抗B抗体は,ヒトのBおよびAB型血球のみを凝集し,AやO型血球は凝集しなかった,また,この抗体とB型血球との反応は,BおよびAB型の分泌型唾液によってのみ阻止され,これらの非分泌型やAおよびO型の分泌•非分泌型唾液では阻止されなかった,次に,この抗体の特異性を明らかにするために,糖鎖結合Synsorbビーズを用いた血球凝集阻止試験を行なった.その結果,B型三糖類とB-like二糖類(Galα1-3 GalβR)によって凝集阻止がみられ,更にB型三糖類によってより強く血球凝集反応が阻止されることが明らかになった.また,B型亜型(A1Bw,Bm)血球に対し,抗体は正常B血球に比べA1Bw型血球をやや弱く凝集したが,Bm型血球は凝集しなかった.これらの結果は,従来使用されてきたヒト由来のポリクローナル抗B抗体(β凝集素)の凝集パターンに一致し,ニワトリの卵黄由来の抗B抗体が,ヒト血液型判定用試薬として有用であることを示したものと言える.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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矢澤 伸
群馬大学医学部法医学教室
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細見 修
順天堂大スポーツ健康科学
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竹屋 章
福井県立大学
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細見 修
群馬大学医学部法医学教室
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竹屋 章
群馬大学医学部法医学教室
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矢澤 伸
群馬大学医学部 法医学教室
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竹屋 章
群馬大学医学部
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細見 修
群馬大学医学部
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