省硫化脱毛法により回収された豚毛の可溶化

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現在,公害対策の面から,豚毛を回収する脱毛方法についての検討が続けられている.脱毛工程の前にアルカリで処理して豚毛に免疫性を付与すると,毛を溶解することなく回収でき,脱毛工程廃水の汚濁負荷量を減少させることが可能となることを報告した9).しかし,免疫性を付与された豚毛は,溶解性が減少し,有効利用の障害になることが予想される.そこで,効果的かつ簡単に可溶化する方法として,穀類の加工に利用されている爆砕処理法の応用を考えた.免疫処理された回収豚毛の溶解性について,爆砕処理条件を変えて検討した結果,爆砕処理条件の中では最終温度による影響がきわめて大きいことが明らかとなった.回収豚毛の水および過ギ酸に対する溶解度は,それぞれ約2%および約15%であったが,これらの回収豚毛を,初期温度100°C,最終温度200°C,最終圧力11気圧の爆砕条件で処理すると,水および過ギ酸に対する溶解度が,それぞれ約60%および約100%となり,約30倍および約6倍に溶解性が上昇した.ケラチンは必須アミノ酸を豊富に含んでおり,消化性,可溶性が解決されれば貴重なタンパク資源となる.爆砕処理豚毛ケラチンの化学的栄養評価について検討した結果,タンパク価は第一制限アミノ酸がメチオニン+シスチンで23であった.この値は,トリプトファンを全然含まないコラーゲンのタンパク価0より優れている.
社団法人日本畜産学会の論文

省硫化脱毛法により回収された豚毛の可溶化

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