毛を回収し脱毛排液を循環利用する脱毛法に関する検討
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概要
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皮革工場から排出される排液の総汚濁負荷量を削減するために,脱毛石灰漬け工程の改善を検討した.1実験につき100枚の塩蔵豚皮を用い,前報で示した毛を回収する脱毛法で処理した.さらに脱毛排液を3段階に分けて回収し,薬品を補充した後,9回循環利用し,総汚濁負荷量と使用薬品量の削減を図った.結果は以下の通りである.1) 原皮重量に対して約6%(乾燥重量)の毛が繊維状の形態を保ち回収された.裸皮には残毛は見られなかった.2) 脱毛排液の循環利用により,脱毛工程における硫化ナトリウムと水酸化カルシウムの使用量は従来法のおよそ半分に削減された.3) 水漬けから脱灰前の水洗工程までの排液の総汚濁負荷量を従来法と比較した結果,9回の循環利用後全排液を排出した場合,およそBODが35%,CODが59%,SSが40%,油分が28%,全蒸発残留物が19%削減され,本法が皮革排水の総汚濁負荷量の削減に非常に有効であることが分った.4) ウェットブルーの化学分析,製品革の機械的性質の測定および外観の官能検査の結果,本法で得られた衣料用スェードは従来法で得られるものと比べほとんど差はなく,脱毛排液の循環利用による影響も見られなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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