カイコにおけるブタ成長ホルモン遺伝子の発現
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概要
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安価なブタ成長ホルモン(PGH)の生産を目的として, PGH遺伝子を組み込んだカイコ核多角体病ウイルスとカイコによるPGHの生産系の開発を試みた.組み換えウイルスを接種されたカイコの体液中からは5齢2日目より組み換え体によるPGHが検出され始め,このPGHの量は4日目でピークに達した.産生されたPGHの分子量は標品と同じ22,000ダルトンであった.このことによりカイコの体細胞はPGH遺伝子のシグナル配列を認識し,かつこれを正しく切断することが判った.又,生産量にっいて他の動物細胞を用いる系と比較した結果,哺乳動物あるいはカイコ由来の培養細胞の上清中に産生される量の10倍以上のPGHがカイコの体液中に産生されることが判った.さらに,脳下垂体除去ラットを用いた成長試験に於いて,組み換えPGH投与群は対照群に比して有意な増重差が認められた.この結果より,組み換えカイコ核多角体病ウイルスにより天然型ブタ成長ホルモンを大量に生成することの出来る系が作出されたと判断された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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田村 俊樹
農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所
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前田 進
カリフォルニア大学デービス
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下郡 洋一郎
日本農産工業株式会社中央研究所
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川合 秀樹
日本農産工業(株)中央研究所
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加藤 幸雄
群馬大学内分泌研究所
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鮎沢 千尋
農林水産省蚕糸•昆虫農業技術研究所
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前田 進
カリフォルニア大
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前田 進
カリフォルエア大学デービス
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下郡 洋一郎
日本農産工業(株)中央研究所
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鮎沢 千尋
農林水産省蚕糸•昆虫農業技術研究所
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