わが国の牛の初乳脂肪に関する研究 : IV. 初乳脂肪の臭気成分
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概要
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初乳脂肪の臭気成分について研究を行なつた. 臭気成分の分離方法としては,溶媒抽出法と水蒸気蒸留法を用いた.水蒸気蒸留留液の捕集には3つの受器を用意し,氷冷,2,4-ジニトロフェニルヒドラジン,酢酸鉛によつて試料中の揮発性酸,カルボニル化合物,含硫化合物の捕取を行なつた.このようにして分離した臭気成分について,まず,溶媒抽出液についてはガスクロマトグラフィーを使用してアルデヒド類の確認を行ない,さらに,抽出液を過マンガン酸カリウムで酸化しその酸化物についてもガスクロマトグラフィーを行なつて,その存在を確かめた.さらに呈色反応によつては試料中にジアセチルが含まれることが推定された. つぎに,水蒸気蒸留法によつてえた留液(I)のpHから,揮発性酸の存在が予想されたので,ロ紙クロマトグラフィーによつてその存在を確認した.さらに,留液(I)の一部と留液(II)についてはカルボニル化合物の存在について検討を行なつた.すなわち,2,4-ジニトロフェニルヒドラジンによつてカルボニル化合物のヒドラゾーンをつくり,その逆相ロ紙クロマトグラフィーによつて確認を行なつた.また,留液(III)については,酢酸鉛液と反応していないので,試料中にも含硫化合物が含まれていたとしてもその含量は微量であることが推定される. 以上,これらの結果,初乳脂肪中よりカルボニル化合物としてアセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,およびジアセチル,酸として酢酸,プロピオン酸を確認した. そして,さらにジアセチルについて比色定量を行なつた結果,その含量は正常バターの2倍量以上も含まれていることを認めた.この結果,初乳脂肪の臭気はジアセチルを主体とし,これに数種のアルデヒドおよび酸類の加わつた混合臭気であることが判つた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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