わが国の牛の初乳脂肪に関する研究 : II. ガスクロマトグラフィーによる脂肪酸の定量
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概要
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初乳脂肪からえた混合脂肪酸について,水蒸気蒸溜を行ない,揮発魅脂肪酸および不揮発性脂肪酸に分け,それぞれを,メタノール•硫酸によつてエステル化し,シリコン,クロトン酸変性酢酸ビニルおよびアピエゾンカラムによつてガスクロマトグラフィーを行ない,脂肪酸の分析を行なつた.確認の方法は,あらかじめ精製してえた標準脂肪酸メチルエステルの炭素酸と相対保持容量対数との関係および各試料に標準脂肪酸メチルエステルを追加し,ピークの増大を調べるなどの方法により行なつた.定量方法は,標準脂肪酸メチルエステルの既知組成試料の面積比と重量比との関係から補正係数を求め,えられた試料のクロマトグラムの各成分面積と補正係数から計算して求めた.なお,面積の測定方法は,半値幅×高さによつた.また,試料について,不飽和脂肪酸の濃縮を尿素付加法によつて行ない,区分5回目の濃縮物について赤外線吸収スペクトルおよびガスクロマトグラフィーを行なつた.以上,これらの実験結果から,初乳脂肪および常乳脂肪(バター脂肪)の構成脂肪酸に著しい差異はみられなかつたが,両試料のなかには,いずれも奇数の脂肪酸およびC16の不飽和脂肪酸の存で在が予想された.また,その組成では,初乳脂肪中にC16,C18およびC18=1の脂肪酸が多く,常乳脂肪(バター脂肪)とは著しく異なつており,この結果,初乳脂肪の組成は,牛乳脂肪よりむしろ牛の体脂肪に近いものであることが判つた.また,初乳脂肪中の不飽和脂肪酸を濃縮するために,尿素付加法を用い実験を行なつた.試料が少ないために満足すべき結果はえられなかつたが,濃縮物の赤外線吸収スペクトルおよびガスクロマトグラフィーの測定結果から,本法が有効であることを知つた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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