わが国の牛の初乳脂肪に関する研究 : I. 初乳および初乳脂肪の性状
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概要
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わが国の牛の初乳および初乳脂肪について,その性状を明らかする目的で,一連の研究を行なった.第1報として,国内の各地から,分べん後48時間から96時間以内のホルスタイン牛の初乳を集めて,まずその組成を分析した.その成績を,関東地方8工場の原料乳混合試料の分析成績とくらべた.その結果.初乳では,蛋白質および灰分の含量が,常乳の数倍あったが,乳糖含量は,最高の場合でも,常乳より少なかった.また,カルシウムおよびリンの含量は,常乳よりやや多かった。これらの結果は,これまでの報告とよく一致していて,初乳の異常性を再確認することができた.精製した初乳脂肪について,けん化価などの特徴を測定した.その結果,けん化価は,対照のバター脂肪より低く,よう素価はバター脂肪より高く,ライヘルトマイスル価およびポレンスケ価は,対照と差がなかった.これらの結果から,初乳脂肪は,バター脂肪にくらべて,低級脂肪酸や不飽和脂肪酸の量に多少相違があり,組成の点で,バター脂肪とかなり異なることがわかった.不けん化物の含量は,バター脂肪より多く,リン脂質の含量は逆に少なかった.初乳脂肪から得た不けん化物は,結晶形,ゆう点,呈色反応,旋光度および赤外線吸収スペクトルの測定結果から,その大部分がコレステリンであることを確認した.紫外部および赤外線吸収スペクトルの測定結果では,初乳脂肪とバター脂肪とは,あまり差がなかった.赤外線吸収スペクトルおよびよう素価からみて,両者には不飽和脂肪酸が存在することを認めた.
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