鶏の低級脂肪酸代謝に関する研究 : II. 脱脂飼料給与鶏•澱粉液投与鶏の消化管内および動•静脈血中低級脂肪酸濃度
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概要
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給与飼料中の脂肪の存在の有無が,鶏の消化管内における低級脂肪酸の産生と関係があるかどうかすなわち,脱脂飼料および澱粉を鶏に給与した場合にも低級脂肪酸の産生が認められるか否かをみるため,脱脂飼料給与鶏•澱粉液投与鶏の消化管内低級脂肪酸および血中低級脂肪酸濃度を調べ,低級脂肪酸の産生と吸収について検討を加えた。本実験では,産卵開始後10カ月を経過した白色レグホーン種産卵鶏4羽を用いた.これを2群に区分し,一群にはSoxleht脂肪抽出装置を用いてエチル•エーテルで脱脂した飼料を給与し,他群には可溶性澱粉l0g当たり,蒸溜水50mlの割合で混合し湯浴中で加温•溶解させた澱粉液2回/日,食道カニューレにより〓のう部位に注入して飼育した.これら供試鶏の飼育期間は供試前31日間である.飼育期間中,脱膿飼料給与鶏群の飼料摂取量,2鶏群の体重,体温(直腸温)を測定した.供試鶏からの採血部位,方法,各部位の消化管内容物の採取と処理,血清,消化管内容物中の低級脂肪酸の定量方法ならびに消化管内の低級脂肪酸の同定については前報の方法により実施した.その結果,つぎの知見が得られた.1) 消化管各部位内容物中の低級脂肪酸については,飼料中の脂肪の存在の有無に関係なく,脱脂飼料給与鶏•澱粉液投与鶏共に〓のう•十二指腸上向部•空回腸前部および盲腸の各部位で低級脂肪酸が高濃度に存在することを認めた。また,十二指腸上向部以外のそれらの各部位で低級脂肪酸が産生されていることが示唆された.一方,十二指腸上向部において低級脂肪酸濃度が高いのは産生を示すものでなくむしろ,〓のうからのcarryoverと推察される.2) 脱脂飼料給与鶏•澱粉液投与鶏の消化管内には7.6〜9.5g内外(8.5g平均)の低級脂肪酸の存在が明らかになった.3 )ペーパー•クロマトグラフィーによった結果,消化管内に存在する低級脂肪酸は醋酸とプロピオン酸であることが確認された.4) 各部位血清中の低級脂肪酸濃度は,動•静脈差が認められた.門脈血清濃度が高いことは,消化管を通して低級脂肪酸の吸収があるものと考えられた.5) 血中低級脂肪酸濃度に動•静脈差があり,静脈血濃度が心臓血濃度より低値であることから環流する各組織•器官での低級脂肪酸の消費が示唆される.
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