茶業経営の発展過程に関する一考察 : 埼玉県日高町,飯能市の事例
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概要
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埼玉県の茶産地のなかでも近年著しい発展をみせている日高町,飯能市の生葉売り農家22戸を対象として,茶業経営の展開過程と,生葉販売の対応実態に焦点をあてて調査検討し,次の結果を得た。<BR>1調査農家の一戸当り平均経営耕地面積は159a,茶園面積は78aで茶園率は50%であった。<BR>2近年における茶園面積の増加は目ざましく,一戸当り平均値で昭和30年には14aにすぎなかったが,35年―25a,40年―38a,45年―59aと拡大を続け,52年に78aに達した。<BR>3茶園の拡大はほとんど自からの経営耕地内での,作目変更によっているが,桑園と普通畑からの転換が圧倒的である。この変化のなかで特に養蚕の衰退が著しく,昭和30年には22戸中,17戸を数えた養蚕農家は52年には3戸にすぎない。<BR>4農業所得に占める茶の所得順位の推移をみると,30年には茶が1位の農家は皆無であったが,40年には3戸が該当し,45年―9戸,52年―15戸と,最近茶業のウエイトがたかまってきた。<BR>5ここ数年,茶園の伸び率はやや小さくなり,調査農家の平均で,45年から52年の間に1.3倍の拡大にとどまる。しかしながら,この間に樹令が摘採期に達する茶園が急増したため,摘採面積は1.8倍の拡大をみた。<BR>6このため年間生葉生産量の伸びも大きく,一戸当り平均値は,47年の2,587kgに対して50年には3,371kg(1.3倍),52年には4,285kg(1.7倍)となった。<BR>7生葉生産量の急増により,調査農家の多くが,生葉販売先の安定的確保が困難な状況にあり,より安定し,高価格で買い取る販売先を求めて,出荷先を変える例も多くみられた。<BR>本調査を実施するにあたり,飯能農業改良普及所の山崎俊貞主任には,農家の選定に際してお世話いただいた。記して感謝の意を表する。また調査農家の方々には終始快よくご協力いただいた。厚くお礼申し上げる。
- 日本茶業技術協会の論文
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