1972年春の茶園凍霜害の実態
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概要
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1.1972年の春は,3月中旬〜5月下旬にかけて,全国的に凍霜害が発生し,近年まれにみる被害を与えたので,その実態のは握と,防止対策の現状,および問題点を検討した。<BR>2.凍霜害の発生が広範囲に及んだ日は,4月2日,3日,10日および5月3日で,発生日の低極気温は,宮崎,長野両県で-6.0℃に達した。また,この凍霜害によって,摘採期はいずれも遅れ,茨城県大子では約40日も遅延した。さらに,収量も,一部の地域を除いて減収し,茶の価格は上昇したものの,収益減は免れ得なかった。<BR>3.立地条件,栽培条件と被害発生との関係は,すでに1950年代に得られた被害時の知見と,ほとんど変化はみられなかった。しかし,凍霜害防止対策については,当時は被覆法,燃焼法あるいは煙霧法など,古くから行なわれていた方法が用いられていたのに対し,この年の場合には送風法,散水法などの新しい方法の導入がめだった。<BR>4,各種防箱法の効果については,被覆法の場合,こも,かんれいしゃなどしゃ閉度の強い材料は,かなり効果がみられたが,低温の度合いが強い場合には,完全には防ぎ切れなかった。しかし,その場合でも被覆を行なったものは,回復がかなり早いようであった。さらに,送風法,散水法についても,それぞれ効果が認められているが,まだ実用上では問題点を残しており,失敗例もかなりみられた。そのほか燃焼法,煙霧法等も実施例がみられたが,ほとんど効果はみられていなかった。<BR>なお,本調査に当たっては,農林水産技術会議事務局からご高配を賜わり,また,各府県の実態については,それぞれの研究指導機関に多大のご迷惑をおかけした。記して深甚なる謝意を表する次第である。
著者
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