妊娠家兎に対する再排卵誘起の影響
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概要
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妊娠家兎に排卵を再誘起し得ることを予備実験で確認できたので,その排卵誘起が妊娠及び分娩に及ぼす影響を調べた.すなわち妊娠1日目から30日目までの各日にhCG50IUを投与して排卵を誘起し,そのまま分娩時まで放置した.その間,母兎の行動を観察するかたわら,妊娠8日目より連日腹部触診を実施した.この結果,部分または完全流産,正常又は遅延分娩,胎児の正常産,死産あるいはミイラ化などが複合した複雑な現象が見られた.しかしこれらの現象を総括し,誘起排卵に対する反応より妊娠期を次の5期に区別することが可能であった.I期(妊娠1日目より7日目)では約70%の母兎が正常分娩し,その割合はII期(8〜14日)で50%,III期(15〜20日)で24%,IV期(21〜27日)で4%と減少したが,V期(28〜30日)ではほとんどのものが正常に分娩した.胎児の級収はII期で最も多く約27%の母兎に見られ,I期で4%,III期で8%であった.III期とIV期では流産が多く,特にIV期では部分流産が増加し,その残存胎児は遅延分娩するか,又は長期存胎した.正常産を示したものの産子数は,当研究室での通常の産子数と差のないものであった.しかし流産胎児数及び遅延分娩したものを含めた数の平均では,II期とIII期が有意に少なく,これは妊娠中に胎児吸収がおきたことによるものと考えられた.流産は排卵処理後2〜3日で起きるものが最も多く,また遅延分娩は処理後15日頃起きるものが多かった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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鈴木 裕之
Faculty of Agriculture and Life Sciences, Hirosaki University
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李 景廣
北海道大学農学部
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鈴木 裕之
北海道大学農学部
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堤 義雄
北海道大学農学部
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鈴木 裕之
Faculty of Applied Biological Science, Hiroshima University
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