水牛と牛のルーメン内セルロース分解性,窒素成分および揮発性脂肪酸の比較
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概要
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水牛(スワンプ)と牛(ホルスタイン)にチモシー乾草と稲ワラをそれぞれ単独で給与し,採食前と採食後時間にルーメン液を採取,両者のルーメン内セルロース分解性,窒素成分および揮発性脂肪酸(VFA)を比較した.また,粗飼料の品質の差や採食がセルロース分解性に及ぼす影響についても検討した.ルーメン液単位容量当りのセルロース分解性(基質:カルボキシメチルセルロース)と細菌濃度(ジアミノビメリン酸)は牛よりも水牛が高かった.しかし,酵素の比活性(セルロース分解性⁄細菌濃度)は両者に差がなかったので,セルロース分解菌の比率は水牛と牛でほとんど同じであると思われる.窒素成分(全窒素,アンモニア態窒素,蛋白質)は,すべて水牛の方が牛よりも高濃度であった.総VFA濃度は両者に差がなかったが,VFAのモル%は,チモシー乾草を給与すると,水牛は牛よりも酢酸の比率が低く,プロピオン酸の比率が高くなった.セルロース分解酵素の比活性は,稲ワラよりもチモシー乾草を給与すると高くなった.また,採食前よりも採食後4時間で比活性の増加が認められた.このことは,飼料の品質の差および採食がルーメン内細菌の活性化に影響を及ぼすことを示唆している.
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