マウスの繁殖能力に及ぼす原子炉(JRR-1)照射の影響 : V. 胎児期被照射マウスおよびその子孫の繁殖成績について
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概要
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胎児時代に,JRR-1を1時間照射されたマウスの成熟後の繁殖能力およびその子孫の繁殖成績は,次のごとく要約される.1. 被照射胎児(F1)の成熟後の繁殖成績について分娩率は,Pre.区80.0%,M.Org.区90.9%,Fet.区85.0%,をそれぞれ示し,比較的良好であった.従って胎児時代にJRR-1照射されても,その生殖腺機能は阻害されなかった.初産日令は,中央値で示すと,Pre.区94.5日,M.Org.区75.5日,Fet.区107.0日であり,Pre.区とFet.区は性成熟が遅くなったため,初産日令も遅延したと考えられた.特にPre.区では卵母細胞の障害によって卵胞の発育が遅くなったと推測された.2. 子孫(F2以降)の繁殖成績について平均産子数は,M.Org.区のF2およびFet.区のF2が,他区,他世代と比較してわずかに少なかった外は,大きな変化を生じなかった.また性比にも変動は認められなかった.死産は,Pre.区,M.Org.区では特に増加しなかったが,Fet.区のF3は急増し(11.1%),その後F4(7.5%),F5(4.8%)と順次減少はしたが,他区と比較して多発した.これは,Fet.区では劣性半致死遺伝子が誘発しためたと考えられた.育成率は対照区と比較して,照射区はいずれも低下し,X2検定の結果では,対照区との間に危険率1%以下で有意差を認めた.この原因として,Fet.区の死産に関係したものとは異なる劣性半致死遺伝子の誘発が推測された.分娩率は,Fet.区のF5で0%を示した外は,いずれも対照区との間に差は認められず,Fet.区のF5は,劣性不妊遺伝子によって不妊であったと考えられた.絶滅経過は,Pre.区はF4,M.Org.区はF3,Fet.区はF5,でそれぞれ絶滅した.この原因については,放射線照射により誘発された劣性突然変異が後代になってホモ化したためと推定されるが,全きょうだい交配の本実験では明らかにならなかった.
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