皮組織の成分及び鞣性の変化に関する研究 : IX 皮のタンニン酸吸着量に及ぼす濃酸〓 および濃アルカリ〓 処理ならびに腐敗の影響
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概要
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1. 石灰によつて脱毛した馬皮を用いて,これを1.5N•HClまたはIN•NaOHで処理し,あるいは水中で腐敗させた.これらの処理時の溶出物について試験し,また処理試料の水分およびタンニン酸吸着量を測定した.2. 溶出物の窒素量はNaOH処理の溶液に最も多く,遊離の糖が認められる.HCl処理の溶液では,見いだされるアミノ酸は少なく,糖は認められない.腐敗を行なつた溶液中では,溶出物はNaOH処理の溶液中ほど多く認められないが,HCl処理の溶液中よりは多い.3. 遠心脱水によつて残る水分は,腐敗処理試料およびNaOH処理試料に最も多く,HCl試料では対照試料の水分と同じである.風乾物の水分は,HCl処理試料,NaOH処理試料,腐敗処理試料の順に多くなる.水分と溶出物との間には,関係は認められない.4. HCl処理試料では,pH2および5におけるタンニン酸吸着量は対照区試料より多くなり,pH8においてはほとんど等しい.NaOH処理試料および腐敗処理試料では,pH8におけるタンニン酸吸着量は他の試料より少なくなる.タンニン酸吸着量と溶出物との間にも関係はない.概して保持水分が多いものは,pH2におけるタンニソ酸吸着量が多く.pH8におけるタンニン酸吸着量が少なくなる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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