皮組織の成分および鞣性の変化に関する研究 : VIII. アルカリによる前処理の影響
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概要
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1. 動物皮の性質に及ぼすアルかリ処理の影響を明きらかにするために,Ca(OH)2溶液およびNaOH溶液で処理した場合の皮の数種の性質の変化を測定し,タンニン酸吸着量と他の諸性質との間の関係について考察した。2. 短時間の処理ではタンニン酸吸着量が減少するが,これは皮の化学的組成の変化によつて起こるものと考えられる。3. 1〜5ぐらいの処理ではタンニン酸吸着量が増加するが,これはコラーゲンの構造,たとえばペプチド鎖の形などの変化が生ずるために起こるものと考えられる。4. 5〜20日ぐらいの処理では,Ca(OH)2溶液の場合とNaOH溶液の場合とで異なり,タンニン酸吸着量は,前者の場合にはなお増加するが,後者の場合には減少し,結合水量はこれに比例して増加あるいは減少する。しかしいずれの場合も,トリプシンによる消化率は急増する。これは両種のアルカリの作用の特色であると考えられる。5. 両種アルカリのその他の作用の特色についても論じた。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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