九州在来馬の研究 : I トカラ馬について
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概要
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1 鹿児島南西約170浬を距るトカラ群島宝島に純粋矮小在来馬を発見し,これをトカラ馬と命名する。明治30年頃大島群島喜界島から導入せられたのに源する。宝島は南海の孤島であるため,約50年間全く他種血液を入れることなく純粋のまま世に知られずに残存した。その数43頭(昭28.7現在)である。大島群島に於いては現在改良せられてしまつたが,明治30年頃までは全島,現在のトカラ馬の如き矮小なものであつた。2 トカラ馬は本邦に残存する唯一の島型在来馬であつて,その成馬の体高108∼121cm,平均は牝114.5cm,牡114.9cm,体重約198kg,である。この矮馬は日本先史時代馬のうち,小形馬と同大と考えられる。よつて本邦先史時代馬の1形態を保存しているものとして貴重であり,鹿児島県は文化財として天然記念物に指定し,保護をはかることとした。3 白徴なく,毛色黒鹿毛,栃栗の様相を呈するが毛色の判定困難である。〓,〓密で長く,頚又は肩部に黒斑あるもの10%で特に幼駒に明瞭,尾に束毛を有し,上唇,下唇に旋毛明かである。前後肢共附蝉を有するが後肢の附蝉甚だ小。蹄は堅靱,歩様短節,粗飼に堪え,耐熱性に富み頑健である。野生馬Prjevalsky馬に類似点が多いが,大きさはPrjevalsky馬より遙に小である。本研究にあたり,両年共終始行動を共にせられた大島郡十島村畜産技術員池田福英氏,研究に便を与えられた宝島部落諸氏,第一回調査に本学練習船「かごしま丸」に便乗を許された山本水産学部長及び本研究に協力した学生山元玄治君に深甚の謝意を表し,なおトカラ馬を天然記念物に指定せられた鹿児島県文化財保護委員会に対し深く敬意を表する。
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