自動酸化におけるフェノール系酸化防止剤同士の相乗作用
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概要
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2種類のフェノール系酸化防止剤を組み合わせた場合,それが相乗作用を示すか,拮抗作用を示すかについてフェノールのラジカル捕捉定数(kinh)およびラジカル捕捉数(n)の両面から詳細に検討した。二つのフェノールの相乗作用は,特にそれらの酸化電位が比較的低く,かつ近寄っている場合に見られた。kinhの解析から酸化電位の低いフェノールはもっぱらペルオキシラジカルの捕捉に関わり,一方,酸化電位の高いフェノールは生成したフェノキシラジカルへの水素供与体,すなわち還元剤として働き,低酸化電位フェノールの再生に寄与することが分かった。一方,n の相乗作用は特にp -メトキシ置換基を有するレスまたはノンヒンダードフェノールで見られ,もっぱらフェノールの周囲に存在する環境,たとえば溶媒に左右された。これは水素結合や疎水性相互作用によりフェノールの分子会合体が形成し,その結果,ラジカル捕捉によって生成するフェノキシラジカル同士のカップリングが妨害されるためである。以上より,疎水性の系,たとえばポリアルキレンや石油類の環境中では,BHTと2-t -ブチル-4-メトキシフェノールのモル比3 : 2での酸化防止剤の組合せがそれぞれのフェノールの活性の単純な和と比べて1.41倍の,またBHTとp -メトキシフェノールのモル比3 : 2での酸化防止剤の組合せが1.35倍の相乗作用を示すことが推定できた。これらの結果の活用は,フェノールの使用量の低減に伴うフェノールの使用経費の削減や環境汚染の減少に役立つものと思われる。
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